フォードが2016年末で、日本から撤退すると発表があったのは、年の初めでした。
我が町、平野には何故かと言っては失礼ですが(誰に)、フォードのディーラーがありました。
私が出社する際、一番乗りの社員が周辺の掃除に出てきていました。
50代前半でしょうか。ノータイでいかにも外車のディーラーという感じの男性でした。
みな、次の仕事探しで大変だろうなと思っていたのです。
また、朝のジョギングコースには「業務スーパー」があります。
朝の6時頃から60代後半の男性が、店前に野菜などを並べたりと、開店の準備を始めています。
9時のオープンに備えてですが、大概1人で作業をしています。それが適正な人数なのか、経費を抑えるためにそうしているのか、私には分かりません。
店舗は東向きで、朝の6時とはいえ夏は日が差し始めます。青果類がとても重そうで、年配だというのもあり、本当に大変そうに見えるのです。
「業務スーパー」が2.8億の所得隠しを指摘されたのは今年の3月でした。
企業とはなんなのかと思います。
朝の6時から、汗水たらして働いている社員が居ると思えば、所得を隠そうとする幹部がいる。
勿論、社員には辞める権利も保障されていますが。
近所のフォードでは、10月初めには全ての車がなくなり、あの大きな広告塔がガスバーナーで焼き切られていました。
2、3日前には数人の社員が談笑していたので、引きの速さは見事な程。張り紙等も、見かけなかったような気がします。
破たんする前に勇気ある撤退をするのは、会社を守る為に必要な場面もあるでしょう。
しかし、フォードを気に入って何百万もの新車を買った人はどう思っているのでしょうか。
また、思い入れを持って入社した社員は納得できるのだろうかと思います。
「もしかすると、当社は日本から撤退するかもしれません」と言って販売したり、雇用するメーカーは無いと思います。
仕事とはただのマネーゲームではないはずです。
世界初の量産車、T型フォードを開発したヘンリー・フォードは、雇用に対しても、非常にフェアな目を持っていたようです。
給料を払っているのは雇用主ではない。雇用主はお金を取り扱っているだけだ。給料を払っているのは顧客である。
-ヘンリー・フォード-
また、お金以外に何も生み出さないビジネスは、貧しいビジネスであるとも言いました。
経営者として、両の目を持ちたいと思うのです。
昨日、入社試験の面接をし、明日から実務試験を始めます。
ここで書いたことがただの理想論にならないよう、まずは自らが懸命に働き、仕事とは何かを伝えなければなりません。
広辞苑で「企業」を引くとこうあります。
生産・営利の目的で、生産要素を統合し、継続的に事業を継続すること。また、その経営の主体。
「継続」が2回も出てきます。継続、発展こそが最も難しいのです。
社員数が2万人であれ、4人であれ、リーダーはそれぞれの人生背を負っているのです。