鳥井も松下も早川も草葉の陰から見ているぞ‐1246‐ 

 昨日は、住吉区へ現地調査へ行っていました。
 
 阿倍野区、住吉区は帝塚山で知られる通り、閑静な住宅街。このエリアで、5件程仕事をしました。

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 中央部にある万代池は、都心部は憩いの場。住所は「バンダイ」ですが、地元の人は「マンダイイケ」と呼ぶそうです。

 調査に行った先で、この辺りは空襲を逃れたのだと教えて貰いました。

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 よって、築70年以上と思われる長屋が沢山残っています。

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 ヨーロッパの街並みのように、日本の街にも秩序があった時代です。

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 阿倍野区にあるシャープ本社は1912年創業。平野から住吉に向かう途中にあります。

 経営悪化から、台湾企業「鴻海(ほんはい)」傘下に入る可能性が濃厚なよう。

 パナソニックは大阪を代表する企業ですが、シャープは阿倍野に本社がある通り、南大阪に沢山の工場があります。

 近所にも社宅が沢山あったり、同級生の親が社員だったりと、私にとっては身近な企業でした。

 関西を代表する企業、サントリー(寿屋)は1899年、鳥井信治朗によって創業されました。戦後、GHQにウィスキーを売るなどして、逞しく会社を成長させて行きました。

 一方1916年の創業している松下電機は、戦時中、飛行機などの部品を作っていた為、GHQに睨まれます。戦後すぐに大変な苦境に立たされるのです。

 そんな時、松下幸之助は旧知の鳥井に「鳥井はん、あつかましい話やけど2、3万円貸してくれへんやろか」と言いました。

 鳥井は「なに水くさいこというてはんねん」と10万円渡したそうです。今の額に置き換えると7000万円相当。それがなければ、現在の大松下は無かったかもしれません。

 7000万円と7000億は正に桁違いの額です。産業革新機構が日本だから良いのかも分かりません。しかし、他国から日本の企業はどう見えるのか。

 「やってみなはれ」 鳥井信治朗

 「この世に起こることは全て必然、必要、そしてベストのタイミングで起こる」 松下幸之助

 「人に真似される商品をつくれ」 早川徳次

 シャープペンシルを発明、国産第一号のテレビ、そしてアクオス、ヘルシオと、正に革新的な商品を生み出し、また真似されています。

 いずれも、戦火をかいくぐり発展してきた偉大な企業です。

 4年ほど前だったか、シャープに勤めるご家族から、フルリノベーション依頼がありました。

 企画も気に入って貰い、さあ計画スタートと行った時、会社の経営不振が顕著になってきます。

 転勤の可能性も高くなり、依願退職も募りだし、不安を感じた家族は、その計画はストップすることにしました。

 大企業は、多くの真面目な、愛社精神を持った家族の生活を背負っているのです。

 大手建材メーカーにの問い合わせをした時、明らかに「御社だけがお客様ではありませんので」という、応対をされたことが何度かあります。

 私たちが設計する建物は、年に10件ほど。大手ハウスメーカーに比べれば、ほんの僅かなものです。それ故、知名度を上げるためやっきになってやってきたのですが。

 すべての電話、全ての応対がこれで良かったのか。大企業病に陥ってはいないのか。僅かなところに差がでるのです。

 シャープ再建の鍵が、何かは全く知りません。

 しかし、鳥居も、松下も、早川もいつも、草葉の陰で睨みをきかせているはずです。