月曜日に着工した「KISHIWADA House」。
直会(なおらい)の場を設けて貰ったと書きました。
広辞苑によると「ナオリアイの約。斎(いみ)が直って平常にかえる意」とあります。
現実的には、神事が終わり、神酒などをおろして頂く酒宴のことを指します。
親の時代などは、結構現場でお酒を飲んだと聞きます。
しかし、現場の人たちは車で来ることが多く、直会の機会は減ってきました。昔は飲酒運転が良かった訳ではありませんが。
この日、わざわざ予約して貰ったがんこ岸和田五風荘。
元城内に建つ、素晴らしい建物でした。
本格的回廊式日本庭園を持ち、連続ドラマ「カーネーション」のロケにも使われたとあります。
「カーネーション」といえば小篠三姉妹の母の話。前日、元小篠弘子邸を訪れたばかりでした。
現代建築と、従来からの日本建築が混在しているのが、今の日本の姿です。
クリエイティブな人というのは、先人たちが残してくれたものに感謝したいと思っているはずだ。
僕が使っている言葉も数学も僕が発明したわけではない。同じ人類の先人たちが作ってくれたものなんだ。
スティーブ・ジョブズの言葉です。
また、本田宗一郎はこう言っています。
過去に積み重ねられた多くのものをもとにして、その上に自ら作り出した新しい世界を開いていくところに進歩があり、これがパイオニア精神だと思う。
建築設計図という慣習も、実によくできたしくみです。
まずは、基本設計で全体の構成を練ります。
そして実施設計に入り、平面詳細図、 断面詳細図(矩計図)で構成をチェック。
展開図では、内部からみた全ての面を表現します。
仕上表、天井伏図、建具表、電気設備図……と、建物に必要な要素を、漏れなく表現できるようになっているのです。
これらに感謝することなく「大変、細かい、辛い」と嘆いているなど言語道断。20年前の自分に、一喝入れたいところです。
実施図面をスタッフが描くようになってから、よけいに図面への愛情が増しのかもしれません。
進歩し続ける人は、常に謙虚。加えて、感謝を口にします。
どうせ感謝するなら、いますぐするべき。時間軸のことも意識したいと思うのです。