手入れ‐1210‐

 長男と2人旅に行ったのは昨年の6月。4年生の時でした。

 今回は娘との2人旅。現在小学2年生です。奈良県最南端にある、七色ダムへ。

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 娘は、起きている間に帰ると、タタッと走って玄関を開けにきてくれます。

 いつまでしてくれるのかは分りませんが、そんな些細な事に、幸せを感じます。

 今回は連休なので宿泊付き。何とかいいとこを見せなければなりません。

 しかし1日目の日曜日は、何年振りかの屈辱のボーズ(1匹も釣れないこと)。

 言い訳するのですが、子供の世話をしながら釣らせるのは、実は結構難易度が高いのです。

 あまりに厳しかったので、その晩色々と情報を集めました。

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 朝靄の立つ、七色ダム。

 2日目に全てを掛けます。

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 魚は深場に落ち、活発にはエサを追わないという情報。

 10mから13mのディープフラットの障害物を、魚群探知機で探し出し、ルアーで直撃するという戦略を立てました。

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 この日、1年に何回あるかという、会心の釣りでした。

 岬がらみの狙ったポイントに入ると、読みがずばずばと当たります。繰り返しますが、こんな日は年に何度もないのです。

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 娘にも、良い魚を釣らせることに成功。

 昼までで上がり、2人で盛り上がりながら帰ってきたのです。

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 池原ダム、七色ダムとも、ボートを昇降する施設がいくつかあります。

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 2千円から3千円くらいでボートの上げ下しをしてくれるのですが、このような施設が出来始めたのが20年前。

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 娘が撮ってくれました。

 それから通っているのですが、当時は凄い人でした。しかしこの日は、たった2組だけ。

 この行楽シーズンでこの利用客数だと、商売としてはかなり厳しいと思います。もっと多くの人が、釣りに来てくれればいいのにと思います。

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 シカの親子を見つけました。

 「キィーッ」という凄い鳴き声を上げ、逃げて行きました。

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 ボートの上にはアキアカネ。

 手つかずの自然に触れ、自然を愛してくれれば良いなと思います。

 また、心がささくれだった時、行きくなるところがあれば良いなとも思います。

 釣りは自分の趣味ですが、何かのきっかけになれば嬉しいのですが。

 養老猛司の著書「手入れという思想」には、日本人と「手入れ」について書いています。

 自然というのは、当たり前ですが「自然のまま」にしています。反対に人工は「思うようにする」ということです。

 思うようにならないから、人の手を入れて、人工のほうに引っ張る。これが「手入れ」という考えです。

 同じ考え方で典型的なものが子育てだと、養老猛司は言います。

 子供は放っておけばよいかと言えばそうではない。どこにもっていったらいいかは誰にも分らない。

 ということは、子育てにしても、お化粧にしても、結局毎日毎日手入れをすることになる。どこにいくかわからないのだろうけど、とにかくそれをやるのだということになる。

 そうやってきたのが、私達日本人の生き方で、それはある意味で自然が非常に強いところの特徴。

 子育てでも、社員教育でも、放任主義がいい、スパルタがいい等という、単純な話ではありません。

 勿論親は不完全ですし、経営者も不完全です。

 どこにいくかわからずとも、今できる、手入れをするしかない。楽しくも切ない。それが子育てで、教育なのです。