かっこいい大人‐1172‐

 昨日は、打合せの後グランフロントへ。

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 日本建築家協会の作品展があり、パネルを撤収しに行ったのです。

 夕日を背にするスカイビル。「世界を代表するトップ20の建物」に選ばれるだけはあります。

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 折角なので、家族も梅田に呼び、食事をすることにしました。

 先日見かけた「鼎泰豐(ディンタイフォン)」阪急うめだ本店

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 台湾料理の名店で「小籠包」(ショウロンポウ)が名物と聞きました。

 勿論、間違いの無い味でした。

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 しかし、子供が一番喜んだのはチャーハン。ご飯粒を飛ばしながら食べました。いつまでも、素直な人であって欲しいと思うのです。

 先週は、若者から2通メールを貰いました。

 1通目は、以前所属していた、建築家プロデュース会社のイベントに来られた、若い女性からです。

守谷 昌紀さま

 お久しぶりです!

 昨年の梅田での建築家展でお話を聞かせて頂きましたイラストレーターの、小笠原まりえと申します。

 実は嬉しいことがあり、ぜひご報告したくてメールさせて頂きます。鈴木成一さんという高名な装丁家の方のコンペに受かりました!

 700人中10人ほど受かるもので、発売前の小説を読み、それを元に作品を描いて、勝ち抜いた人が本の表紙の仕事を頂けるというものです。

 最近、課題作品が送られてきたのですが、秘文書扱いなので作者名はあげられないのですが守谷さんの好きな作家陣と同じくらい高名な方の作品でした。

 まだ何も始まっていませんが、ここまで来れたのは、あの時に守谷さんとお会いしてプロとしての考え方を聞かせて頂けたからだと思います。

 無名の新人の私に、守谷さんは快くご自身の経験や考え方を話して下さり、とても感動したのを覚えています。

 日本には木が多くて、ヨーロッパは石が多かったから自然とその国に合った街並みができたこと、一つの家を建てるのに、大きな視野で街並みとの調和まで考えておられること、

 ジャンルは違いますが、私もプロになるなら自分の事だけでなく大きな視野で考えられるようにならなくては、と思いました。

 私には、今は夢のまた夢ですが、家を建てる際には守谷さんに設計して頂くという夢がありますので、

 今回のコンペも是非勝ち抜いて実績を積めるよう頑張ります!

 それでは、また何かありましたら、報告させて下さい!

 小笠原まりえ
http://lily22.sakura.ne.jp/

 そして2通目です。

一級建築士事務所アトリエm
守谷昌紀様

 突然のメールで申し訳ありません。

 私は2008年2月まで修業生としてお世話になっていた○○○○です。

 多くの方が学びにこられるのでお忘れになってるかもしれませんが。

 いまでも「若者は」というブログは壁にあった時に見返しています。

 私は辞めてから今日までゲツモク日記を一度も欠かさずいつもご活躍を楽しみ、時には励まされながら拝見させていただいてます。

 勿論「ビフォーアフター」も拝見させていただきました。いつも勇気をいただいております。

「いつもお天道様が見てると思って仕事をしなさい。」

この言葉は今の私の仕事のスタイルになってます。

 この度メールさせていただいたのは独立する事になったのでそのご報告をどうしてもしたかったからです。

(一方的で申し訳ありません)

 私は現在静岡で一児の父として家庭をもっています。

 設計の仕事を頑張っています。日々悪戦苦闘の日々を送っています。

 実は守谷さんには後ろめたい気持ちが7年間ありました

 なので本当の事をお伝えしたくて・・・・

 退所した本当の理由は設計事務所で働くことに不安があり自信を失った事、親が私の安定を望んでいた事、つまりは怖くなったからという事です。

 その後ハウスメーカー、工務店で勤めましたがやはりもう一度ゼロからトライしてみたいという気持ちとタイミングがあって独立する決心をしました。

 決して今の会社に不満が多いわけではありません。安定もしてます。両親も安心してくれています。

 ただ、今の自分の仕事に対して、納得した事は一度もありません。

 あの頃事務所で見させていただいた景色は今でも鮮明に覚えています。自分の原点であると思っています。

 働く姿勢やひとりの人間として多くの事を学ばせていただき感謝しています。

 本当は直接ご挨拶したかったのですが。これを言わないと次にすすめないと思いメールさせていただきました。

 これまで何度かメールしようと思った事がありましたが嘘をついて辞めてしまった事に後ろめたい気持ちがありなかなかできませんでした。

 「人生とは何か。どう生きるべきかを知りました。傍観者ではだめだと。・・・もう人生からは逃げはしません」

 おカネもコネもありませんがこの言葉を胸に自分の納得できる仕事をしていきたいと思っています。

 本当に一方的なメールで申し訳ありませでした。

 また何かのご縁がある事を願って遠く静岡からご活躍を楽しみにしております。

 2人目の彼は、当時25歳くらいだったでしょうか。もう30歳を過ぎ、立派な大人になっていると思います。

 非常に優秀で、素直な若者だったので、彼が辞めた後、エールを送ったのです。

 人の最も影響を与えるのは、言葉ではなく、立ち振る舞いと言います。

 「お腹がとてもすいた」と言うより、ガツガツとご飯をかきこむほうが、伝わるのと同じです。

 先週は、世界最高峰に居る建築家の立ち振る舞いを、すぐそばで見ました。そのキャリアを知っていることを差し引いても、「本当にかっこいい」のです。

 友達に「いつもお天道様が見てると思って仕事をしなさい」と言えば、正気かと問われそうですが、仕事上なら言えます。

 かっこいい大人で居たい。かっこいいプロでありたい。見た目は今更変わりませんが、そう思います。

 最後に私の返信も載せておきます。

 メール有難う。そして、まずは独立おめでとう。

 多くの研修生を受け入れたけど、2、3日で辞めた学生は別にして、殆どの人は覚えています。

 特に、出来れば残って欲しいと思った修業生が、沢山居た訳ではないので、○○君のことは良く覚えているよ。

 東京で勝負したいと言っていたので、それ以上は言わなかったけれど。

 律儀にこうして連絡をくれて、○○君らしいなと思い出だしています。

 僕に悪いと思う必要は全くないし、そんな小さな事は微塵も気にせずに、全てのエネルギーを、仕事に注いで下さい。

 独立したら、世間の荒波を一番前で受けることになります。

先輩面して言うのは、スマートじゃないけど、びっくりするくらいに、厳しいはずです。

 そんなときは、ヘップバーンの台詞のとおり、絶対退かないと覚悟を決めて頑張って下さい。書きながら、自分の覚悟も再確認しています。

 人のことを、上から見れる余裕はないけれど、一緒に働いた時間が、人生を行動側に導いたなら、とても嬉しいです。

 お子さんが居るんやね。とてもいいお父さん像が目に浮かぶようだよ。

 当事務所も、今年で20年目に入ります。アドバイス出来ることも多少はあると思います。何かあれば遠慮なく連絡下さい。

 成功するのに必要なものは、やはり覚悟と情熱。それに比べれば、お金にコネも、おまけ程度だと思っています。

 素晴らしい船出になることを確信し、応援しています。