バカであれ‐1083‐

 休日は、ほぼ野外にいます。

 広い湖で、無心にキャストを繰り返すその時間が何より好きです。

 中学2年生のとき、初めて子供だけでキャンプへ行きました。テントと釣り道具を持ち、電車で淡路島の生穂へ。

 夜はすることがなく、友人と背中合わせで星空を見ていました。

 流れ星を待つだけで、飽きることがありませんでした。

 パートナーは子供に変わりましたが、している事は全く同じ。

 奈良の山中で、こぼれんばかりの星をみて、そんな事を思い出していました。

 長男だけでなく、娘も時々連れて行きます。

 娘は立ち姿がピタッときまります。

 おそらく筋がいいのだと思います。結果も出しますし。

 今日、44歳になりました。

 先が見えない20代。「見えた」と思ったら、転がるように過ぎていった30代。

 そして不惑を越えてはや4年。時の流れは加速する一方。

 建築家という仕事を選び、これまで生きてきました。

 その建築家を紹介したり、マッチングするビジネスモデルが沢山あります。

 我々建築家はそれらを介して仕事をした際、紹介料、広告費などを設計料の1割程度を支払うというのが一般的です。「ビジネス」なので、これは理解できます。

 この2月、仕事を成立させるために何らかの条件を付加される、紹介料等を払わねばならないサービス、システム等の全てから退会しました。

 この数年、安定したオファー、規模拡大などの言葉に惑わされていたのかもしれません。

 翻って、紹介料を払ったとしても、心から感謝して貰えるなら、出来ない事はありません。

 システムやビジネスモデルを生み出した人は成功者です。しかし、人への感謝を希薄にし、利益を集めるマシンにならぬよう、血を通わさなければ、真の成功者とは言えないではないか。そう思うようになりました。

 ジョブスは言いました。

 君たちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの人生を生きている暇などない。 ハングリーであれ、バカであれ。

 選択とは他の可能性を捨てること。直接のオファー以外、全ての可能性を捨てました。

 納得できないことに割く時間はありません。今年も熱い夏になりそうです。