代われるものなら‐1017‐

 大阪はイチョウの多い街です。

扇形の葉は、日を受けるとまさに黄金の輝き。

 イチョウには、寒い朝が似合います。

 10月末に骨折した長男ですが、結局手術をしました。

 初めに処置してくれた医師が、非常に丁寧な人でした。

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 前腕の先端には成長軟骨という、重要な部分がある。

 その部分がずれると、成長に影響が出る可能性がある。

 よって、肘の上までの固定となりました。

 「私は手の専門ではないので、専門医に診て貰った方がいい」というアドバイスで、後日他の病院へ行くことに。

 結局「ずれ」が見つかり、ピンで骨を固定する手術が必要になりました。

 長男は、家に帰ってからも落ち込んだまま。「僕の腕なんか曲がったままでいいんや」と泣いています。何を言っても「手術はいや」の一点貼り。

 小学3年とは言え、本当に拒否すれば、手に負えないんだという事が、まず分りました。

 何とか納得して先月上旬に手術。

 先週ピンを抜く手術を終え、1ヵ月振りに包帯のない手に戻ったのです。

 手術が決まった時、私も人の親。

 「代われるものなら、代わってあげたい」という気持ちになりました。

 しかし、どんな困難も代わってあげることは出来ません。同様に、私も代わって貰うことは出来ません。

 現実はいつも1つで、全てを引き受けるしか、前に進む方法はないのです。

 失敗しても、命までは取られない。スタッフに、自分にそう声を掛けます。