古美る、イタウバ

 7月に、大阪ガスの住宅情報誌「住まう」の撮影がありました。

 この号の発刊は9月20日となっていますが、知りませんでした。あるメーカーの人から「載っていましたね」と聞き知った次第です。

 普通、家の記事というのはクライアントが主役です。しかしこの2ページのコーナーは「大阪ガスは建築家を応援します」のコピー通り、創り手側が大写しになっています。

 気恥ずかしいところもありますが、良ければ手に取ってみて下さい。大阪ガスのショールーム、ディリパなどに無料で置いてあるはずです。

 撮影のあった「イタウバハウス」は、テーマの中に「白ける」がありました。

 正面ルーバーに使われている樹は、イタウバという堅木です。堅木につき雨風に強いのですが、紫外線にされされていると、どうしても表面が白っぽくなります。これを「白ける」と言うのです。

 その変化が目立たないよう、塗装するのが一般的です。しかし、その経年変化を隠さず、そうなった時に最も美しい外観を目指すそうとなったのです。

 2011年3月

 2012年7月

 その試みが成功したかどうかは、見た人の判断によります。

 建築家・出江寛は「古美る」という表現を使います。古いものは美しいと言う思想です。千利休の師、武野紹鴎の、侘びとは「正直で慎み深く奢らぬ様」という言葉も引用し、正直に古美ていく様が、日本精神の神髄にある「侘び」へとつながっていくと、説いているのです。
  
 この考えは、瓦メーカーのサイトに分かり易く書かれています。

 仕事を始めた、当初の2年間は勤めていました。初めの1年は出江寛の弟子の建築家の設計事務所。よって、彼の孫弟子と言えなくもありません。

 直接の接点は無いのですが、無いからこそ、その哲学に影響を受けていると思います。

 建築に使われる素材は、どうしても変化の少ない、メンテナンスフリーな物へと移行して行きます。時代と共に、全てを否定することは出来ないのですが、受け継がれて来た精神は持ち続けたいと思うのです。

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■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』■■■ 7月8日(日)「匠」として出演しました

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