クリエイティブ

 昨年末ですが「イタウバハウス」へ1年点検へ行っていました。

 その際の現場日記に、光熱費のことを書きました。このタイメイングで、出来るだけ聞くようにしているのです。

 その時に教えて貰った金額が、調べてみると少し違ったと、クライアントからメールがありました。

 それで1年分の電気代、ガス代を整理して送ってきてくれたのです。

2011年 「イタウバハウス」
家族構成:夫婦、幼児2人、乳児1人
電気料金/ガス料金
1月  12,237円  /  8,899円
2月  10,864円  /  9,995円
3月  12,456円  /  9,078円
4月   7,870円  /  6,773円
5月   7,146円  /  5,416円
6月   9,134円  /  5,546円
7月  10,733円  /  4,113円
8月  11,081円  /  3,697円
9月   9,265円  /  4,116円
10月  6,699円  /  4,646円
11月  7,840円  /  5,272円
12月 11,445円  / 11,211円

この家は、建築関係の金額だけでなく、土地、土地売買に係わる諸経費、ローンに掛かる費用、テレビ、エアコン、カーテンにかかる費用など、いえにほぼ全ての金額をwebサイト、雑誌に公開させて貰っています。

その動機は、これから家を建てる人の参考になればというもの。私がお願いしたからではないのです。

「感謝」という言葉しか思い浮かびませんが、この言葉をジョブズは一回り大きな視点で使っていました。

 何が僕を駆り立てたのか

 クリエイティブな人というのは、先人たちが残してくれたものに感謝したいと思っているはずだ

 僕が使っている言葉も数学も僕が発明したわけではない

 同じ人類の先人たちが作ってくれたものなんだ

 僕は全力で心の奥底にあるものを表現しようとした

 先人が残してくれたあらゆるものに感謝しようとしてきた

 そしてその流れに何かを追加しようとしてきた

 そう思って僕は歩いてきた

-伝記『Steve Jobs』-

「同じ人類の先人が残してくれてた」というくだりに、軽い衝撃を受けました。

 当然ですが、建築家という仕事は私が発明したものではありません。この仕事が現在あるのは、先輩たちが脈々と引き継いできたからこそ。そういったことへ感謝の気持ちは持っていました。

 しかし、言葉や数学をつくりあげて来た人類の先輩に、感謝の気持ちを持つなど考えたことさえ無かったからです。

 creative(クリエイティブ)は創造的という意。それはある日突然で生まれるのではなく、先人たちへの感謝の気持ちがベースにある。

 ジョブズはその理想の高さゆえ、部下へはかなり厳しい人だったようです。しかし、彼が最も革新的な創造者であったのは、誰より強い先人への感謝の気持ちがあったから。そうであれば、納得できる気がします。