犬は人にとって最も身近なペットです。
電車に乗っていると、盲導犬がいました。
背中には「お仕事中」という張り紙も。そこに周りの人は話しかけないで下さいと書いてありました。
仕事に集中させてあげて下さいという意味ですが、つい「偉いねえ」と言いたくなります。
犬の進化についての番組を見たのですが、これがなかなか興味深いものでした。
犬の起源は、未だにはっきりと解明されていません。従来の説では、オオカミを人が飼いならしたと言うものが有力でした。
しかし、オオカミを人が飼いならした例は、生後13日以降では存在しないそうです。最近の研究では、違う説が重要視されているのです。
DNAの研究から、オオカミから犬が分かれたのが1万5千年前の東アジアと分かりました。これは人が定住を始めた時期と一致します。
人が定住を始めると、多くのゴミが出るようになります。人にとってはゴミでも、動物にとってはそうではありません。多くのオオカミが集まって来たのです。
どのくらい人が近づくと逃げ出すか。この距離感には個体差があります。これを「逃走距離」と言い、この距離が短いものだけが、食事にありつけたのです。これらの個体は人の近くで暮らし始めます。
過去にロシアで、狐の毛皮を取るのにある実験が行われました。狐のオリに手袋を突っ込み、噛みつかなかった種だけを交配して行きました。それは、育てやすい種を作るための実験でした。
この交配を10年間続けると、臆病で神経質な狐が人と戯れて遊ぶ、より温和な種へと変化して行ったのです。
自然界の中で、オオカミが最も安定的に食糧を得る場所が、ゴミ捨て場だったとは驚きです。しかし、納得もできます。
また、そのオオカミから犬への変化は、先の狐の実験が示す通り、相当に短い期間で起こったと考えられているのです。犬は1万5千前の東アジアで、歴史の中で言えば一瞬にして生まれた種と言えるのです。
犬は優れた嗅覚、聴覚を持っています。それらを頼りに、イヌイットは北極圏で暮らすことを可能にしました。その従順さと、オオカミの狩猟本能を活かし、人は牧羊犬を育てました。
ドーベルマンは19世紀に徴税請負人だったドイツ人のドーベルマン氏が、身の安全を確保するために作りだした種なのです。
狩り、牧畜、階級社会の形成など、犬が人の社会に多くの影響がを与えているのは紛れもない事実なのです。
オオカミは遠吠えをしますが、犬は短く鋭くは鳴きます。番犬として、そういう種を人が望んだからです。小さい、毛が長いなど何か特徴がある個体を生み出したければ、それらの近い種を交配することになります。番組はその行き過ぎに、警鐘を鳴らす事で結ばれていました。
あくまで一説ですが、犬を生み出したのが定住とゴミ捨て場だったとは……
何と表現して良いのか、これ程までに人と犬が密接な関係だったとは、想像さえしていませんでした。