末裔

 朝夕は随分涼しくなって来ました。

 今朝の空を見て、今年初めて秋を意識しました。本当に気持ち良い気候になりました。

 先週末を思うと、自然と言うのはこうも違う顔をもっているのかと、納得もするのです。

 突然ですが、スケートの織田信成選手はあの織田信長の子孫です。教科書で見た絵にそっくりなので、疑う余地もありません。

 天下人、うつけもの、新しいもの好き……

 信長の子孫というのはどんな気分なのでしょうか。

 一昨年、日本建築家協会(JIA)に入会してから、同業者と話す機会が増えました。そこで、徳川家を最も苦しめたと言われる、真田家の末裔と知り合ったのです。

 聞けば戦国武将の雰囲気も。池波正太郎の「真田太平記」全12巻を読んだ私は、ちょっと興奮しました。

 真田家は信州上田市の豪族で、父昌幸と次男幸村は戦上手で知られました。中山道を通り関ヶ原の戦いに向かう家康の嫡男秀忠は、上田城の真田家に降伏を迫ります。

 それには従わず、わずかな手勢で秀忠軍を足止めし、参戦を遅らせた話と、大坂夏の陣で家康を追い詰めた話は有名なところ。

 武士は勇猛果敢。六文銭の旗印は三途の川の通行料。それさえも恐れないという意味なのです。

 真田幸村は、猿飛佐助をはじめ真田十勇士を従え徳川家を苦しめた講談が、江戸時代に大人気となり、戦国武将の英雄として語り継がれてきました。よって誇張されている部分も多いと言われます。

 そもそも小説とはフクションです。史実と重なったり、離れたりしながら展開して行く所こそが歴史小説の醍醐味と言えます。

 史実と史実の隙間を、いかに作家の仮説で繋ぐかが、作品の本質と言えるのです。

 未来は現在の”影”でしかないが、過去は現在を知る宝庫でもある。私は人の過去にふれてみたくなる。はるかに刺激的で魅惑的である”過去”という事件。
-山本隆司-

 過去こそロマンなのです。