大阪の近現代建築2

 大阪の近現代建築を紹介する話の続きです。

 住宅雑誌の編集者から、大阪市内とされています。現場帰りに少しずつ足を運んでいました。こんな時でなければ、キタ、ミナミ、天王寺など、カメラを首から下げて、うろうろすることはありません。

 道頓堀にかかる戎橋から東の太左衛門橋方向を撮りました。

 太左衛門橋というよりは、たこ焼きの「大たこ」のある橋、が分かり良いかもしれません。

 戎橋の上でも撮ってみました。考えてみれば、グリコを撮ったのも生まれて初めてです。

 鰻谷あたりで、安藤忠雄設計のガレリア・アッカを探していました。タバコ屋さんのおばちゃんが「どこを探してるん?」と。

 「ああ、それならちょっと南の左手にあるわ。打ち放しやで」

 カメラを首に下げていると、何か感じが違うんだなと。また、大阪のおばちゃんに「打ち放し」と言わしめる、安藤の凄さを感じました。

 天王寺は、事務所を設立した場所なので思い入れがあります。

 本当にお金も無かったので、たまに行った安い居酒屋が「新力」。

 席は狭く、階段は急勾配。でも活気があって安くて美味しいのです。

 更に、たまに行っていたバーも探しました。

 教室のワックスの香りがする、レトロなバーでしたが、行ったり来たりしても、見当たらず。

 近くの店の主人に聞くと「ビルに建て変わったなあ。もう大分前やで」と。

 あわよくば撮影をと思っていたのが、浅はかでした。

 紹介のリストはを5件中、4件まで絞りました。この機会に大阪の街を歩いてみて、自分がどんな建築が好きで、何に影響を受けたか、輪郭が見えてきました。

 しかし、実際に一番感じたのは、街は変わるということ。

 映画「ブラック・レイン」の撮影に使われた、阪急百貨店のコンコースは大きく様変わりし、バー「桃陰」は天王寺から無くなってしまったのです。