子供を花粉症にしない9か条

 2月23日のYAHOO!ニュースに以下のような記事が載っていました。

 子供を花粉症にしない為の9か条を、専門家が上げているのです。

①生後早期にBCGを接種させる
②幼児期からヨーグルトなど乳酸菌飲食物を摂取させる
③小児期にはなるべく抗生物質を使わない
④猫、犬を家の中で飼育する
⑤早期に託児所などに預け、細菌感染の機会を増やす
⑥適度に不衛生な環境を維持する
⑦狭い家で、子だくさんの状態で育てる
⑧農家で育てる
⑨手や顔を洗う回数を少なくする

 ①から③は分かる気がします。④から⑨は要するに、もっと菌を増やして、体に取り込めという事。ノーリスク・ノーリターンでしょうか。ちょっと痛快でさえあります。まずは花粉症に対しての話しですが、続きを読むとそれだけでもないようです。

 仕事の話しになりますが、住宅を設計する場合、子供さんがアレルギー体質の家庭はかなりの確率にのぼります。その為、国産自然木のフローリングや、土壁を採用するケースも増えました。

 しかし、そのもう一つ前に、清潔すぎるという問題もあったのです。住空間の創造を生業とする者として、思うところがあります。

 人は、木の上での生活を捨てた時から、巣以上の存在、「家」を創りました。雨風、暑さ寒さをしのぐだけのものから進化し、更に快適と便利を追求します。ドライ(湿気は体温を奪う)、クリーン(文字通り清潔)、フレッシュ(新鮮な空気、風)を求めて。

 現在の住宅は、当たり前ですが人類史上、最も便利で、最も清潔です。例えば建材メーカーは外壁材なら、メンテナンスフリーで、長持ちするものを目指し開発します。室内においても、汚れは簡単にふき取れるよう、表面はコーティングされ平滑なものが、より売れるのです。

 全否定する訳ではありませんが、自然界に風化せず、平滑なものなどありません。経済原理で正しい事が、人の暮らしにとって正しいとは限りません。全てを原始に戻せば解決とは行きませんが、便利、効率、永久をむやみに求めるのは危険だと感じるのです。 

 ではその頃合はあるのか?という事になります。そこはそれぞれの人の直感(良心といっても良いかもしれません)に従う他無いと思うのです。

 最後のところは完全に感覚です。しかし、人の心は突き詰めて行けば、誰でもそこまで分かるようになっているはずです。でなければ、人はここまで生存しなかったと思うからです。

 私も、数年前から花粉症です。それだけが原因かは分かりませんが、歴史上からみれば無菌状態に等しい中で暮らしてきたのかもしれません。バイタイティーこそが大切と思っていたのですが……。ちょっとショックな気さえするのです。

 リンクが切れると困るので、ここにニュースの全文も貼っておきます。

 将来、子どもが花粉症で苦しまないようにするためにはどうすればよいか―。理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの谷口克センター長が「花粉症にならないための9か条」を紹介した。

 2月23日に横浜市の理研横浜研究所で報道関係者を対象に開かれた「製薬協プレスツアー」(主催=日本製薬工業協会)で、谷口センター長は「スギ花粉症ワクチン開発」と題して講演。この中で、▽生後早期にBCGを接種させる▽幼児期からヨーグルトなど乳酸菌飲食物を摂取させる▽小児期にはなるべく抗生物質を使わない▽猫、犬を家の中で飼育する▽早期に託児所などに預け、細菌感染の機会を増やす▽適度に不衛生な環境を維持する▽狭い家で、子だくさんの状態で育てる▽農家で育てる▽手や顔を洗う回数を少なくする―の9か条を紹介した。

 谷口センター長は、2003年のアレルギー疾患増加の疫学調査結果などを例に挙げて説明。同調査によると、花粉症を含むアレルギー患者は、20歳代は80%、40歳代は70%、50歳代は40%、60歳代は30%と、若い世代ほど割合が多い。きょうだいの数とアレルギー疾患発症頻度に関しては、第1子の発症頻度は6.3%だが、第2子は4.9%、第3子は3.1%と、第2子以降は発症頻度が下がる傾向が見られた。

 また、生後6か月以内に麻疹、抗酸菌などの感染症にかかると、アトピーになりにくいという。6歳時点でのツベルクリン反応陽性者は喘息の発症頻度が4%、反応陰性者は16.2%だった。

 一方、生後3年以内に抗生物質を投与すると、花粉症や喘息の発症率が高くなるという。

 谷口センター長は、「花粉症は、ある程度不衛生でエンドトキシンの量が多い環境で育つと発症しにくくなる。逆に、下水道などインフラが完備されている所、車の交通量の多い所で育つと発症率が高くなる」と説明した。1987年のある統計によると、栃木県日光市内の交通量の少ない小来川地区と交通量の多い日光スギ並木地区の花粉の一日当たりの平均飛散数はほぼ同じだったが、花粉症の発症頻度は、前者が5%程度だったのに対し、後者は13%だったという。また、96年にドイツで行われた花粉症の皮膚テストによると、旧東独のライプチヒとハレでは陽性率が7.9%だったのに対し、旧西独のミュンヘンでは21.3%だったという。

 谷口センター長は、「幼児期でアレルギー体質が決定するという仮説は正しいことが証明された。花粉症などのアレルギー性疾患は文明病であり、人間が物質文明を追求したために生じた免疫機能失調症だ」と指摘。その上で、「国民の約20%がスギ花粉症に罹患し、その経済損失は年間1.2兆円と試算されている。既存の医薬品による対症療法のみでは、増大するアレルギー疾患患者の治癒は困難。根本的な治療を実現するワクチン開発が急務だ」との認識を示した。