仕事を選ぶ時

 やや気恥ずかしい気もしますが、この時期なので書いてしまいます。

 「少年よ大志を抱け」はクラーク博士の言葉。しかし大志を抱くには、大きな夢や高い目標が必要です。志は自らが抱くものですが、心から「あんな人になりたい」と憧れるような人物が居なければ、卓上のものとなってしまうのです。

 歴史上や架空の人物、または職業自体などでも良いのですが、実在するに越した事はありません。私の解釈はこうです。

 「憧れは志を育む」

 正直に言えば、私にとっては建築家、安藤忠雄でした。恐れず書きますが、今は同業者です。その人への憧れを吐露するのはもうひとつな気もしますが、やはりそこが職業人としてのスタートです。

 学生の頃、世界を舞台に活躍する建築家がたくさんいました。現在も多くいますが、今なお現役の磯崎新、先ごろ亡くなった黒川紀章などなど。中でも安藤の生き様に強く憧れたのです。

 いじめや自殺を止めるのは、人としての高い志と、孤立を恐れない勇気を置いて他にありません。大人は、身近にいる子供、少年、青年に、その生き様を示さなければなりません。心から憧れる存在が有り、それに向っていれば、そんなつまらないことに人生を消費する時間など無いはずなのです。

 子供、社会、仕事は繋がっています。いつの時代も、子供は時代の写し鏡。全ての責任は、私達大人にあります。顔を上げ、媚びず、馴れ合わず、高潔な大人が必要なのです。

 採用の面接をしていると、思うところが色々あります。決して、模範的な学生時代を送っていた訳ではありませんが、仕事を通してそんなことを考えるようになりました。今から就職活動を始める学生に、そこは伝えたいのです。