-晴れの国-岡山へ その2

1月16日(月)の続きです。

日曜日の朝「奥津温泉」を後にして、岡山県勝田郡奈義町にある「奈義町現代美術館」へ向かいました。車で東へ一時間足らずです。

ここは建築家・磯崎新氏が設計した、ちょっと変った美術館です。

あらかじめ収蔵が決まっている3組の作家が、建築家との共同作業で専用の空間を作り上げています。と言うよりは、空間そのものが作品なのです。

これは展示室「大地」の宮脇愛子の作品。水面に細い金属線が踊っています。見えるでしょうか?

こちらは展示室「月」の岡崎和郎の作品。休息の象徴として庇とベンチがあります。音が大きく共鳴するよう設計されているのか、子供も大きな声を何度も反響させていました。

そしてこの筒の中には荒川修作+マドリン・ギンズの作品が・・・・・・

筒の中は平衡感覚を失わせるような空間です。壁面には京都の竜安寺の石庭を模したものが天井まで続き天井にもベンチがあります。

ウロウロしていると気持ち悪くなってしまいましたが、奇妙で面白い空間でした。作者の二人は「養老天命反転地」という公園なども手がけており注目の作家です。

その後、備前市にある300年以上前に、備前藩主池田光政が開いた「閑谷(しずたに)学校」へ行ってきました。

現存する、庶民の学校としては世界最古と言われ、講堂は国宝です。屋根瓦が備前焼きで、赤みがさしており、建物として仄かな色気を感じさせます。どことなく中国の趣きを感じるのはその赤みのせいでしょうか。

付属する茶室が渓流沿いにあったのですが、改修中だったのは残念でした。

そして私たちは、初めての子連れ温泉旅行を終え帰路につきました。最近はろくに出かける時間も無かったので、妻が喜んでいたのが何よりでした。

雪化粧をしている山を眺め、池に張った氷に触れ、葉を落とした木々を見、冬をしっかりと体感できました。今は1月中旬なのでヘンな話ですが、エアコンの効いたアトリエでずっと仕事をしていると「冬」と理解はしているのですが、体は分かっていなかったような気がします。

自然の中に出掛けていかないと、「いきもの」としての感覚とか、感性に錆のようなものが付いてしまいます。冷たい風に触れることはとても大切なこと。中国道を大阪へ向かいながらそんなことを考えていました。