一番好きな作家

 今日は11月3日、文化の日。

 秋だからという訳ではないのですが、先月の初めアトリエmのwebサイトの更新時に、好きな本や心に残っている言葉を紹介する「books」「words」というページを作ってみました。

 (besides work=仕事以外、仕事のそば)

 その中で、一番好きな作家を決めるのは難しいのですが「世間での人気」と「私の思い入れ」との差が最も大きいと思っているのは「志水辰夫」さんです。

 中学生の頃、国語の先生に「何か面白い本を教えてほしい」と言うと、宮本輝の「優駿」と志水辰夫の「散る花もあり」を紹介してくれました。両作品とも今でも心に残っています。それから2人とも大好きな作家になりました。

 あれから20数年。志水作品に到っては、今年読んだ「約束の地」まで30作品くらいはあったでしょうか。ほとんどの作品を読んでいます。ジャンルはロマンティックな冒険小説といった感じで、中にはちょっとコミカルな作品もあります。文章がとても美しいのが特徴です。

 特に好きな作品を並べてみると、私が10代半ばから20歳くらいの時期のものでした。若かったせいもあるのでしょうが、初期の作品はとにかく刺激的でした。勉強してるような顔をしてページを急いでいた事を覚えています。

 またあんな本と出会ってみたいと、心から願います。志水辰夫さんは現在69歳。永らくお疲れさまでしたと言いたいところですが、「あの頃のような作品を、もう一度お願いします」と言いたいのです。読者とは無責任で楽しむことに貪欲なもので、672円であのドキドキを味わってしまうと、そう言わずにはおれないのです。

飢えて狼   講談社 1981. 8
裂けて海峡   講談社 1983. 1 1
あっちが上海   文藝春秋社 1984. 2
散る花もあり  講談社 1984. 5  -私、14歳-
尋ねて雪か   徳間書店 1984.11
背いて故郷   講談社 1985.11
狼でもなく   徳間書店 1986.11
オンリィ・イエスタデイ   講談社 1987.12
こっちは渤海   集英社 1988. 6
深夜ふたたび   徳間書店 1989. 5
カサブランカ物語   集英社 1989. 8