20℃くらいの記憶

 大阪では最高気温が20℃を超えるようになりました。この時期になると、毎年思い出すことがあります。

 中学生になった頃、友達同士でスキーに行くようになりました。パック旅行なら、3月の末から4月の初めの期間は、びっくりするくらい料金が安いので、決まってその時期を選んでいました。

 信州で存分にスキーを楽しんだ後、帰りのバスは、大阪駅や新大阪駅に、朝早く到着します。中学生の私は、通勤する大人もまばらな梅田で電車を乗り継ぐ為、スキー板と大きな旅行カバンを引きずって歩いていました。

 信州と比べると、急に高くなった気温も手伝ってか、「スキーシーズンが終わる」「春休みが終わる」「新しい学年になる」など、いろんな感情が入り混じり、なんだか寂しい気持ちになっていました。

 大阪に帰って来るという事は、楽しい春休みが終わり、いつもの生活に戻るということです。体感する気温が、急激に現実を感じさせたのかもしれません。

 20年も前の、生暖かくて、少し気だるい感覚と、ビジネスマンがまばらに歩いている光景を、気温と共に、何故か今でも鮮明に思い出します。