カテゴリー別アーカイブ: 07 食

風向き変わる‐1696‐

 例えば車で出掛けるとして、目的地に向かうルートは無限にあります。

 ①ナビが勧めてくるルート、②自分が一番早いと思うルート、③走っていて気持ちのよいルート。

 大きく分けると、この三択くらいでしょうか。

 土手上や、阪神高速湾岸線あたりが私にとっての③にあたります。

 少し車を停めてみました。

 何の穂でしょうか。

 風が吹くと緩やかにしなり、目に風を感じさせてくれます。

 風がこれ程心地よいものかと、ひと時立ち尽くしてしまうのです。

 今年から中学生となった娘ですが、今日が初登校でした。

 短縮された入学式から1ヵ月半。多くの新入生と同様、沢山の不安を抱えていたと思いますが、何とかここまできました。

 この非常事態宣言中、大阪だけが唯一エンゲル係数が上がったという記事を見たような……

 「勤勉」「質素」「人のために尽くす」は百田尚樹さんの『海賊と呼ばれた男』に出てきた言葉。

 我が家も質素を旨としていますが、日曜日の夕食だけはちょっと別枠です。

 唯一子供と一緒に食べる食事で、何とか盛り上げていかなければなりません。

 家焼肉、しゃぶしゃぶ、野外焼肉、そして手巻き寿司。

 手巻き寿司は、ウニこそ不評でしたが肉巻きは長男に好評でした。

 バラ肉をちょっと炒めて、アサツキとポン酢で。

 そのまま食べても美味しいので、巻いても美味しいに決まっているのですが。

 そろろそネタが切れてきたので、子供に聞くと「タコパ!」と。

 その手がありました。

 これなら若干エンゲル係数を引き下げてくれるかもしれません。

 大阪人たるもの、タコ焼きくらい上手にクルクルできなければモグリと疑われます。

 皆腕を上げてきました。

 「ブタ焼き」なるメニューも考えてみました。

 目的にたどり着くルートは無限にあると書きました。

 反対の言い方をすれば、目的さえ決めてしまえば、達成したも同じです。

 知恵を絞りながら、そこに向かって手を打ち続けることができるからです。

 バブル崩壊後の不況、消費税UPを2回、リーマンショックを経験しましたが、幸いにも私自身が不況と感じたことはありませんでした。

 しかし、アフターコロナと言われる時代も、同じようにオファーがあるという保証はありません。

 しかしこの仕事で生き、スタッフの雇用を守りたいなら、そう決める他ありません。目的さえ決まれば、ルートは無限にあるはずなのです。

 風薫る五月。

 ここ数日の動向を見ていると、薫風が全てを吹き飛ばしてくれるかもと、期待せずには居れません。

 世間に吹く風は、確実に向きが変わったと思うのです。

A photograph is wonderful.

2012年5月 石川/千里浜なぎさドライブウェイ

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

ほんとの外食に‐1690‐

 緊急事態宣言は全都道府県を対象としたまま、5月末まで延長されると発表されました。

 朝の新聞に、感染拡大がゆるやかな地域では公園や図書館は開放可能とあり、娘が喜んでいました。

 しかし実際には、東京や大阪は「特定警戒都道府県」となり、この限りではないようです。本好きの娘はがっかりしているでしょう。

 それでも、大阪では新規感染者が10人台という数字を見ると幾分ほっとします。1ヵ月間の我慢の結果が確実に表れているのです。

 状況によっては、14日に部分解除もありえるともありました。

 どこの家庭もそうだと思いますが、春休み、ゴールデンウィークとどこにも行けないので、実家の屋上で再び焼肉です。

 これがほんとの外食。

 いついかなる場合でも、30分あれば野外で食事ができる準備はしてあります。

 子供達はそこまでの野外好きではないのですが、火のおこしかたくらいは教えておきたいところです。

 将来、友達同士でBBQでもするときは、何も食べなくていいから、火をおこし、準備し、焼いてあげなさいと伝えてあります。

 子供大好きのタン塩も、炭火でやけばさらにレベルアップ。

 長男は炎がでるような霜降りよりも赤身好き。なので、高い肉を買って帰ってもそれ程喜びません。

 むしろ歯ごたえのある赤身の方が好きで、意外に味が分かっているのかもしれません。

 サツマイモは2人とも大好き。

 魚介もこれまではあんまりでしたが、イカは2人とも食べるようになりました。

 子供は日々成長していくものです。

 月に何万円も食べるのですから、そうあってもらわないと困るのですが。

 私も焼きながら食べますが、基本ホストのつもりです。

 ゲストが喜んでくれればそれが一番。

 ただこの外食は、便利過ぎて限りなく内食に近い外食ですが。

 小さい時から親に連れられて海へ行き、船をだし、獲物をとって、そこでさばいて食べていました。

 学生になり、友達や後輩を連れていくと、びっくりするくらい喜んでくれるのです。

 ただ、10人も20人もの体育会の食べ盛り君たちを連れていくので、失敗は許されません。

 前日は何度も何度もシミュレーションし、準備します。

 当日は早朝から船を降ろし、沖へでます。獲物を確保したら、11時までには浜に戻っておきたいところ。

 そこからマッハで食事の準備をします。食べ盛り君達にはひとまず焼肉を食べておいてもらい、少し落ち着いてきたら、魚や貝をさばき始めます。

 刺身、唐揚げ、浜鍋など料理と言う程の物ではありませんが、そこは食材と景色がカバーしてくれるのです。

 日が暮れるまで目一杯遊び、家に帰った時はもうクタクタで、泥のように眠ります。

 しかし、全てがイメージ通りにいった時、何とも言えない充実感があるのです。

 「誰かが心から喜んでくれた」という経験をさせて貰ったのは、とても大きかったかもしれません。

 誰と、何処で、何を食べるかで、味も気分も全く違ったものになります。

 「空腹は最高のソース (Hunger is the best sauce.)」

 という諺がありますが、

 「野外は最高のレストラン(The outdoors is the best restaurant.)」

 も加えて貰えればと。英語が合っているかは分かりませんが。

 なぜこれだけ野外が好きなのか、自分でも分かりません。何せ屋内を創るのが私の仕事ですから。

 もし14日に解除され、ほんとの外食に出掛けられたらどれだけ嬉しいことでしょう。

 ひとまずもう2週間、頑張れ日本、なのです。

A photograph is wonderful.

2010年8月 福井/敦賀

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

時は、よく用いるものには親切なり‐1676‐

 先週末「Ohana」のクライアントと会っていたのですが、昨日は萱島を訪ねました。

 京阪萱島駅を貫く大楠木は、萱島神社のご神木でもあります。

 改札を出ると、すぐに出汁のいい香りが鼻をくすぐるのもこの駅の特徴。

 設計時、早く着いた時には思わず暖簾をくぐったものです。12年程前の話ですが。

 着いてすぐ、斜め45度から1枚撮りました。この角度が、環境をよく表しています。

 ご実家の一部を切り取って敷地としたのですが、連続するH鋼は、母屋への通風を確保しながら、外部スタジオを捻出しています。

 「35本とは流石に縁起の良い数字を選んでますね」と、お客さんに言って貰ってそう。

 意図したものでは無かったのですが。

 中央のオリーブは、残念ながら2018年9月の台風21号で倒れてしまいました。

 2年が経ち、小さな芽が増えていました。

 1階のレセプションでご夫妻と3時間程話をしていました。

 いつも「とても居心地がいい」と言ってくれるのですが、この季節は南面する窓が最も活きる時期。

 日のあるうちに2階の撮影スタジオものぞいてきました。

 磨き上げられた床に観葉植物。

 大切にされているのが伝わってくるのです。

 2階の大開口から南を眺めると、周辺の買収が進んでいることが良く分かります。

 隣接する府道の拡張が決定したのです。

 背景となる壁に通常窓は設けませんが、北側にL字の開口を切りました。

 自然光を積極的に取り入れることを試みたのです。

 その縦スリットから北の萱島駅方向をのぞきます。

 建物中央に向かって道路境界が迫っています。第1期の買収で残っているのはこの建物だけになりました。

 2009年秋に駅前店から移転し、写真スタジオの新たな可能性を探ったのがかやしま写真スタジオOhanaです。

 地域の人達に認識して貰い、建築費を回収し、さあこれからという時で、「はたと困った」というのが本音でした。

 しかし新敷地がほぼ決まったこのタイミングで、本格的な打合せも始動しました。

 新敷地から現Ohanaを見返してみます。

 初めて計画地に立った時、私の全てのセンサーが全方位に向けて全開になるのです。

 ご夫妻での打合せ後、クライアントとはこんな所へ行くことになります。

 そして、こうなって。

 こうなります。

 酔わなければ話せない間柄ではありませんが、ビールと共に更に夢は膨むものです。

 ある現場からの帰り道、現場監督がこんなことを言っていました。

 「早く帰ろう、1つでも手間を減らそうとする職人が居るけど、そんなに急いで帰って何をするんですかね」

 少しでも遅く帰りたいという訳ではありませんが、同感です。

 時は、よく用いるものには親切なり

-ショウペンハウワー

 19世紀のドイツ人哲学者の言葉ですが、人にしても、物にしても、お金にしても、乱暴で、自分勝手な人を好きになる理由がありません。

 また、同時代を生きた鉄血宰相、ビスマルクはこうも言っています。

 青年にすすめたいことは、ただ三語につきる。すなわち働け、もっと働け、あくまで働け。

 初めて読んだ時は笑ってしまいました。

 ゲルマン魂が、こんな言葉をはかせるのでしょうか。

 気が付けばこんな時間になっていました。

 春は色々なことが動き出す時です。青年と同様、私に出来ることは働くことだけです。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】

■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

変わるOSAKA、変わらない大阪スタイル‐1635‐

 先日、ミナミへ出たついでに少し歩いてきました。

 天王寺が一番近い繁華街ですが、ミナミも電車で30分圏内です。

 キタも同じようなものですが、ミナミに対してはどこかで「我が街」と思っているところがあります。

 千日前商店街を北へ向かって歩くと、東西に流れる道頓堀川にぶつかります。

 訪日観光客数が、ついに東京を抜いてトップになったという記事を目にしました。

 確かに10年前では考えられない程、外国人が歩いています。

 考えてみれば、大阪ほど安上がりで楽しめる街はそうないかもしれません。

 いくら観光客相手とはいえ、たこ焼きが千円することはないでしょう。

 火災の後、特例で以前の街並みを再現した法善寺横丁も、苔むした水不動尊も、海外の人からみるとエキゾチックな風景だと思います。

 千日前商店街を北に向かって歩いていると、凄い行列がありました。

 ざっと見た感じで100人レベル。

 お好み焼きの「美津の(みづの)」でした。

 2010年の11月に妻の友人が来阪した際に訪れました。

 「確かに美味しかったもんな」と思い出していたのです。

 名物の山芋焼き。

 いくら人気店と言っても、お好み焼きなので1万円することはないでしょう。

 渦巻きお好み焼き、焼きそばといずれも絶品でしたが、この様子では当分無理かもしれません。

 そのまま「美津の」を通り過ぎ、道頓堀商店街まで出てきました。

 ここはいつも通りの賑わいです。

 少し目線を上に上げると、地味な遊園地より余程カラフルで刺激的。

 このSNS時代。大阪の価値はさらに上がったのかもしれません。

 もう至る所がインスタ映えですから。

 ビリケンさんのようにも見えますが、ここに居て問題があるのか、ないのか……

 「くいだおれ」という店は無くなったが「くいだおれ太郎」は健在という、この商魂たくましい街が大阪なのです。

 2010年11月に、道頓堀を歩いた時の写真がありました。

 「ずぼらや」の看板が写っていますが、9年でここまで変わりました。大阪はOSAKAとなったのです。

 写っている子供達がまもなく高校生ですから、おかしくはないかもしれませんが。

 大阪が人気観光都市になった理由として「人が温かい」「コミュニケーション好き(おせっかい)」というものがあります。

 勿論他の都市と比べればそれも大きいでしょう。

 旅行者にとって、「泊まる」と「食べる」は必須です。

 「泊まる」の質を上げようと思えば、高級ホテルに泊まれば良いのですが、「食べる」は少し工夫すれば大したお金を使わなくても、かなり満足できます。

 特に大阪においては。

 そう考えれば「食い倒れの街」に、観光客がこれまで少なかったことのほうが問題なのかもしれません。

 大阪が人気観光都市になったのは、「掛かった費用<満足度」この数式が成り立つからに他なりません。

 そう考えると、仕事のスタイルは大阪スタイルで良いのだと思えてきます。

 進歩、成長は必須です。しかし原理原則が変わることはありません。

 「安くて美味い」

 これの価値を超えることは誰にもできないと、我が街が示してくれたのですから。

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

昭和な町、昭和町で昭和を考える‐1620‐

 9月9日なので「救急の日」。これは容易に想像できます。

 陰陽思想では奇数を陽とすることから、また9が極数であることから「重陽(ちょうよう)」というそうです。

 奇数が重なる日は強すぎて不吉。反対に吉。両方の解釈があるようです。さて、今日はどちらの一日だったでしょうか。

 先週金曜日、昭和町に行く用事がありました。

 あびこ筋と松虫通りの交差点に地下鉄の駅があります。

 「阿倍野の長屋」の現場に通う際、いつもこの前を通っていました。

 北西角にある「ハンバーグレストランBOSTON」。とても気になっていたのです。

 古き良き洋食屋さんといった感じで、入ってみたくなります。

 webサイトを見ると、昭和27年創業で系列店が10店舗ある老舗店でした。

 特にハンバーグが好きな訳ではありませんが、雰囲気、漂ってくる芳ばしい匂いに誘われるのです。

 隣の「大阪ヨーグルトケーキ」も同じ系列店でした。

 裏通りをのぞくと、趣のある長屋が見えました。

 登録有形文化財の「寺西家阿倍野長屋」でした。

 名前は知っていたのですが、どこにあるかは知らなかったのです。

 昭和7年の建物で築89年。

 近くには蔵を改装した蕎麦屋さんも。

 西へ向かって歩いていくと、1m程の大きな段差があります。

 その突き当りにも店舗が並びます。

 「坂の上のそばや」とは、なかなか気の利いたネーミングです。

 出汁の香りが漂ってきます。

 ハルカスまで御堂筋線で一駅。

 街遊びが好きな人にはとても住みやすい所だと思います。

 私は昭和45年生まれなので、昭和を18年、平成を30年、令和を4ヵ月生きました。

 昭和が63年と長かったので、3つの年号を生きるとは想像もしていませんでした。

 平成が30年と一番長いのですが、やはり昭和が色濃くしみ込んでいる気がします。

 昭和の香りと言いますが、それは「木の香り」であり「出汁の香り」かもしれません。

 トゲが立つかもしれない木が、むき出しで使われているのが当たり前。よって香りは立ちます。

 くたびれた畳のイグサがズボンにつくのも当たり前。ズボンという表現も、昭和でしょう。

 昭和は「自己責任の時代」だったとも言えそうです。

 令和でも、ホテルでも出汁は取ると思いますが、民宿に泊まった時、夕飯時に漂ってくるその香りにホッとするのです。

 今日は、グランフロントの サンワカンパニーでの「無料相談会」にでていました。

 パネルなども持参するので、結構な荷物になります。

 キャリーバッグも引いていたので、エレベーターを待っていると、80歳くらいの女性一行が、私の前に回り込み、先に乗ってしまいました。

 別に法律違反でもありませんし、ムッとするほどのことではありませんが、この年代の人には結構あることだと思います。

 電車に乗るときも同じで、お急ぎならお譲りしますが、子供達の見本になりましょうね、とは思います。

 若い人でも順番を守らない人はいるので、一概には言えませんが、昭和は「競争の時代」だったと言えそうです。

 戦争、敗戦を経験し、その後の高度成長期を生きたのが、昭和前半生まれの人達。良く言えばバイタリティがある。悪く言えばモラルが低い。

 ここまで書いてしまって良いのでしょうか(笑)

 しかし、決して上っ面でない競争を経験してきたのは間違いないでしょう。

 それなら順番ぐらい譲ってあげなさいということになるかもしれませんが。

 これは昭和町でなく、平野で見た看板です。何故だか私にとっての昭和は、こんな感じです。

 メンテナンスが必要な家に住み、激しい競争にさらされ、出汁の利いた食事で育った昭和の人々。

 そう書くと、果たして自分がどっぷり昭和なのか分からなくなってきました。

 人を種類に分けることはできませんが、魚の味が水に左右されるように、時代の気分に影響されるのは間違いありません。

 昭和を語るキーワードは、競争と自己責任のような気がするのです。

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】
■9月15日(日) 9:00~12:00 高槻高校文化祭にて
「頼れる卒業生」による無料相談コーナーに参加

【News】
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

銀を金に変える‐1618‐

 9月に入りました。

 取材の様子はUPしましたが「非宣伝下さい」とのことで、いきなり告知です。

 『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』9月30日発売に「回遊できる家」が掲載されます。

 300円なので、書店で見かけたら手に取ってください……でなく、良ければ購入下さいませ。

 「暦の上では秋」の言葉通り、気持ちのよい朝でスタートしました。

 週末、現場から「ちょっと急ぎで……」と連絡があり、始業前に寄ってきました。

「うえだクリニック」のリニューアルオープンは9月24日(火)。現場は最終盤に入っています。

 自動ドアも取りつき、壁の下地もほぼ完成。

 リクエストは、一旦確定を出していた外壁仕上げの確認でした。

 ワンサイズ大きな塗り見本を、左官屋さんに作って貰ったので確認して欲しいと。

 外壁もサイディングなど、工業製品全盛の時代です。

 工場で製作する工業製品は、どうしてもサイズに限界があります。しかし、品質の安定感はあり、施工の難易度は低くなります。

 左官仕事は現地で練った材で仕上げるので、広く美しい壁を作れますが、手仕事ゆえ、経験や熟練度で差がでます。

 折角の手仕事なので、念の為大きな見本を作成したということでした。

 こんなやる気のある相談なら大歓迎です。監督、私とも同じ意見で右を採用しました。

 現場仕事は手仕事が多ければ多い程、良くも悪くも差がでるのです。

 先日、子供が妻へ「誕生日プレゼントは何が欲しい?」と訊ねると、「料理を作って欲しい」と答えたそうです。

 よって、兄妹作の「焼飯パーティ」となりました。

 1回目はちょっと焦がしてしまったよう。

 2回目はとても上手にできました。

 子供だけでここまで出来るようになったのかと、感慨深いものもありますが、掛け値なしにとても美味しかったのです。

 私はアウトドア専門ですが、料理は嫌いなほうではありません。

 魚をさばく、焼肉、唐揚げ、お好み焼きといったレベルですが、焼飯にはそこそこ自信を持っています。

 その理由がこの言葉。
 
「銀を金に変える」

 台湾料理龍潭(リュータン)のオーナーシェフ、程一彦(ていかずひこ)さんが、今年亡くなられました。

 Facebookで繋がった学生時代の知人が、程さんに師事していたようで、その投稿で知りました。

 彼女は奈良テレビで料理コーナーを持っていたりと、とても頑張っているようです。

 学生時代、夕方のテレビ番組に程さんが料理コーナーに出演していました。

 偶然観たのですが焼飯の日で、先の言葉を初めて聞いたのです。

 美味しいパラパラ焼飯を作る方法は、冷ましたご飯を使う、一度冷凍したものを解凍、水で流すなど、諸説聞いたことがあります。

 残り物を入れるという、不届きな話も聞いたことがあります。

 また、中華鍋を大きくあおり、直接火を当てて油分を飛ばすなどの技術も必要です。

 しかし、程さんは「卵かけごはんを炒めるだけで、パラパラ焼飯は簡単にできます」と。

 銀シャリを黄金の焼飯にするので、「銀を金に変える」なのです。

 たかが焼飯、されど焼飯。

 医食同源の言葉通り、美味しく、健康な食事をすることは、医療行為と同等です。

 子供達も上手に作れました。

 日々の食事を、こんな簡単な言葉で良くしてくれた程さんに、なんだか感謝の気持ちを伝えずには居れないのです。

 私の仕事は、白い紙に建物を描き実現すること。

 「白を黒に変える」では負けたみたいなので「紙を幸せに変える」としておこうと思います。

 建築も料理も、手仕事と愛情にこそ差が出るのです。

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』
2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】
■9月9日(月)14:00~17:00 サンワカンパニー
<グランフロント大阪>にて「無料相談会」に参加
■9月15日(日) 9:00~12:00 高槻高校文化祭にて
「頼れる卒業生」による無料相談コーナーに参加

【News】
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

僕が僕であるために‐1608‐

 今日から、長男がアメリカへ向かいます。

 中学校からの研修に参加するのですが、行先はシアトル。2週間程の予定です。

 帽子が必要だそうで、イチロー引退もあったマリナーズのキャップを買い与えました。ベタではありますが。

 映画好きの友達とは「飛行機で何本観れるかな」と盛り上がっているそう。

 できれば留学して欲しいと思っているので、海外へ目が向いているのは嬉しいことです。

 先日の定期考査で、私がびっくりするような成績を出してくれたので「何かプレゼントを買ってあげるよ」と言うと「フィギアがいい」と。

 フィギア専門店なるところへ初潜入してきました。

 中古のプレミアショップのようで、こちら1万7千円。

 自分なら躊躇する金額ですが、折角の機会なので購入しました。

 家に帰るとすぐに左肩を脱臼してしまい、いきなり要入院の状態となっていますが。

 娘も負けじと模試でかなりの成績をだしてくれたので、長男の壮行会、私の誕生日と合わせての外食です。

 谷町九丁目のイタリアンへ行ってきました。

 このあたりは上町台地の西端にあたり、難波へ向かってかなり勾配がついています。

 天王寺七坂のひとつ、真言坂のすぐ西にある「Piattini Micio (ピアッティーニ ミーチョ)」

 名前のいわれは聞き忘れてしまいましたが、妻がネットで探してきました。

 結果として素晴らしいお店でした。

 テーブル4、5席とカウンターだけのお店ですが、ガス窯があります。

 娘はかなり舌が繊細で、大人味を食べさせるタイミングを見計らっていました。

 割と頑固なので、一度外すとなかなか出掛けたがらないのです。

 結果として最高のタイミングだったと思います。

 前菜から外れゼロ。

 イワシ、サーモンのマリネは抜群でしたし、ナポリの青のり入り揚げパンは、兄妹ともかなり気に入っていました。

 窯焼きのピザは、生地が厚すぎず、薄すぎず。パリパリしすぎず、もっちりし過ぎずで絶妙。

 こちらのチーズが4種入ったピザは最後にもう1枚頼みました。

 皆、あっという間に平らげてしまいます。

 辛いのが苦手な娘には、シンプルなトマトソースで応対してくれました。

 少し貰いましたが、これがまた美味しい!

 シンプルなものほど味の差がでるのは鉄則です。

 妻はピスタチオソースのパスタを頼んでいました。

 いろどりもよく。

 長男はメインのステーキをガツガツ食べていました。

 鹿肉もとても美味しかったのです。

 なかなか子供達のスケジュールが読みにくくなり、今夏の家族旅行は無し。

 長女の受験が終われば、祝勝旅行と行きたいところです。

 結果は別にしても、2人が目標を持ち、自分で努力を始めたことが、兎に角嬉しいというか、感謝さえします。

 誰に似たのかと頭を悩ませるのですが……

 娘からの誕生日プレゼントはこれ。とても上手に仕上がっています。

 実は、昨年もこんな感じで手造りのボールを作ってくれたのですが、大事にしすぎて、現在はどこにあるのか分からずで……

 大切に仕舞い込み過ぎて分からなくパターンです。

 今回は大量祈願のお守りとして、ボートにつけておくので間違いなしです。

 父方の今は亡き祖母が、晩年「まさきちゃんは、感情が深い気がする」時々言っていました。

 良い悪いは別にして、自分でも感情の振り幅は大きいほうだと思います。

 これが他人にとってはしんどい事なんだろうということも、歳とともに分かってきました。

 ビールの宣伝みたいですが、時代はドライ&クールなのです。

 全くトレンドと合っていないのですが、それを全く苦としないのが、クライアントと子供達です。

 情熱も、愛情も、どこまでも大きく、深い方が良い。それは誰にも当てはまらないことがようやく分かりました。

 ナニワ生れのナニワ育ちで、49歳になりました。

 僕が僕であるために。

 尾崎豊のように、ひと時強烈に輝き、流れ星のようにさって行く程の才能は、残念ながら持ちあわせていません。

 なら、自分の持っているものをひたすらに磨くしかありません。

 祖母はそれが分かっていたのだと思うのです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

絵も心も大きな、ミナミの住人‐1598‐

 観測史上最も遅くなるという関西の梅雨入り。

 今朝も非常に良い天気でした。

 昨日は打合せ終わりで、ミナミへ出ていました。

 高島屋大阪店の7階、台湾点心の鼎泰豐(ディンタイフォン)に行っていました。

 先日、長男がクラブで頑張ったので「何か食べに行こうか?」と聞くと即答。

 言わずと知れた小籠包の有名店で人気店。

 子供達が先に並んでくれていたので、6時半から食事にありつけました。

 勿論のことですが、間違いのないお味。

 その他の料理も総合点は高く、子供達もどんどん平らげていきます。

 腸詰は少しクセがあるので、まだ無理かなと思っていましたが、長男は喜んで食べていました。

 体も舌も、どんどん大人に近づいていくのです。

 子供達に並んで貰っている間、久し振りにアメリカ村あたりを歩いてきました。

 三角公園はやはり若者の街。

 ごった返しています。

 ビッグステップの前を東に通り過ぎると、黒田征太郎の『peace on earth』が見えてきます。

 FM802のロゴもデザインしたイラストレーターですが、道頓堀の出身だと知りました。

 この作品の下部には落書きがあります。

 それが問題になった時、ビルオーナーだったかが「黒田先生の作品に失礼だ」というコメントを出しました。

 それを受けて「私の絵は、落書きしたくらいでは何も変わりませんよ」と答えたのです。
 
 この話がとても好きなのです。

 現在80歳だそうですが、ビッグステップの地下2階に、ギャラリー兼アトリエを構えたと知りました。

 ビッグステップの名の通り、大きな階段を2層下ります。

 「描場」は階段下の空間にありました。

 土日のみのオープンですが、スタッフの方が親切に案内してくれます。

 写真撮影もOKとのことで、キラキラとした素敵な空間でした。

 アクリルに閉じ込められた作品です。

 元作業台に直接描かれたアトムの絵。

 手塚プロと協力して、様々なアトムを描いているとのことでした。彼も手塚治虫になりたかったひとりだったそうです。

 スタッフの方が、色々と話してくれたのです。

 大阪に居る時は実際にここで制作をするそうです。床にはその際の絵の具でしょうか。

 直接壁に描いた作品もあります。

 現代美術に解説は不要です。

 なんだか分からないけど楽しい。美しい。

 それで十分だと思います。

 「描場」は写真撮影OKです。

 日本のギャラリーではなかなか無いので驚きましたが、スタッフの方も「大きな人です」と言っておられたのです。

 誰でも、人間を大きく見せたいものです。

 だからと言って何でも許容すれば良い訳でもありません。

 謙遜しているだけでは成長もありませんし、そういう意味では値決めがプロとしてのプライド、主張でしょうか。

 アクリルの作品のお値段も聞いたのですが、絶対無理でも、その場で買える値段でもありませんでした。

 あくまで私の財布に照らし合わせてですが。
 
 作家・沢木耕太郎とは旧知の仲で、そのエッセイの中に登場します。

 2人で出演していたラジオの公開番組でのこと。

 観覧者からの質問コーナーで、ある若者が「あなた位のイラストなら、僕でも少し練習すればすぐ描けますよ」というような発言をします。

 黒田征太郎は「じゃあ、今、ここで描いてみろ」と言い放ったという話です。
 
 壁一面のイラストも、確かに素人っぽく見えますが、私はこの話がとても好きです。

 この話も本人から聞いたとのこと。

 本を通してのまた聞きから、ひとりを介してのまた聞きに進歩しました。ご本人に聞くより、沢山のことが聞けたかもしれません。

 「いつか」と言っている人に、「今」はやってきません。
 
 いつだってトップランナーは、私に活力を与えてくれます。

 そして、自分もそんな存在になれるよう、日々を精一杯生きるしかないと、夜のミナミに誓うのです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

私の年輪‐1597‐

 前回は、長男の試合を観に行ったあと、近鉄奈良駅に向かったところまで書きました。

 近鉄奈良ビルは、坂倉準三の設計で1970年竣工なので私と同い年です。

 駅近の商店街は、いつもながら賑わっていました。

 近鉄特急に乗るようになり、web会員になりました。

 それで、ちょこちょことポイントが貯まります。

 これが微妙な貯まり具合で、現在使えるのは難波までの特急券とのこと。

 30分、510円の贅沢です。

 ガラガラで、乗っているのは外国人旅行者ばかりでした。

 淀屋橋から京阪に乗り換えて、大きなクスノキのある萱島駅で下車。

 年に1回、OhanaでのBBQに呼んで貰いました。

 2009年の竣工で、今年は11年目を迎えます。

 元は駅の高架下で営業していましたが、写真スタジオの更なる可能性を模索するため、少しだけ離れたこの地に新築することになったのです。

 初めて相談に見えたのは2008年の2月。お父様とご一緒でした。

 共に37歳だったはずで、もう10年以上前から知っていることになります。

 昨年の台風では、シンボルツリーのオリーブが倒れてしまいました。

 再生は無理と言われたそうですが、それでも少しずつ芽がでてきています。

 生き物とは本当に逞しいものです。

 手書きの看板の横に有るエントランスを入ると、レセプションです。

 この床は、5年程前の豪雨の際に浸水し、一度やり替えています。

 建物も店主も、自然に負けないくらい逞しいのです。

 今お客さんは居ないとのことで、2階のスタジオにも上がってきました。

 床の直上に切った小さなFIX窓は、子供さんに人気。

 撮影の機材の多くは、前店舗から持ってきたもので、ミリ単位で設計したことを思い出します。

 Ohana石井さんと愉快な仲間たちは、私がパシャパシャやっている間にすでに着席。

 乾杯となりました。

 石井さんは、「守谷さんはビールが好きだから」と、いつも色々なビールを準備してくれています。

 自分が設計したお店の裏庭でこれらを頂く幸せは、何にも替えることができません。

 こんな重要なことを私が書いてよいのが分かりませんが(と言って書いているのですが)、実は府道の拡張によって、Ohanaは移転する必要がでてきました。

 私にとっての建築設計とは、唯一無二のものを創ることです。

 オーナー、店主の方々に「出来れば、○○2ndのような店づくりは避けませんか」と言ってきました。

 Ohanaは最たる建物で、2011年にはキッズデザイン賞を受賞することができました。

 あの20mm~30mmの精度で建てたH鋼35本を、もう一度建てて欲しいと言っても、建築会社は断るかもしれません。

 そのくらい、30代の私にとっては持てるものを出し切った仕事だと思っています。

 ここで写し取られた幸せの景色が、このスタジオの存在価値を何よりも雄弁に語ってくれるのです。

 こちらは奥さん作の石井さん。とっても良く似ています。

 作品は私にとっての年輪です。

 年輪は、冬の成長が遅い部分が濃く映るので、1年ずつの輪が見えます。それ故、労苦を伴う仕事こそが、年輪となるのです。

 石井さんは「出来れば次の店も守谷さんに」と言ってくれました。

 プレッシャーは正直ありますが、本当にそうなれば40代で培ったもの全てぶつけてみたいと思うのです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

桑名でくわな‐1593‐

 前回、6月2日(日)に養老を訪れたところまで書きました。

 昼前、孝子伝説と瓢箪の街をでて桑名に戻りました。

 養老鉄道で45分程です。

 朝一番の近鉄特急で桑名に到着したので、一度ここで乗り換えをしています。

 この駅は、近鉄、JR、養老鉄道が同じ駅舎の中にあります。

 通路の端々に、乗り換え用の改札があるのが見えるでしょうか。

 ここにタッチするだけで乗り換え出来るのです。

 桑名の街は、関西で言えば枚方くらいの雰囲気でしょうか。

 乗り継ぎ駅なのでぶらぶらしようと思っていましたが、「六華苑」という近代建築があることだけ分かっていました。

 鹿鳴館の設計でも知られる、イギリス人建築家、ジョサイア・コンドルの設計です。

 駅から20分程掛けて歩いていくと「本日イベントの為休業」とあります。

 聞くと映画の撮影だそう。

 仕方なしに六華苑と隣り合う庭園、「諸戸氏庭園」だけのぞいてきました。

 諸戸家は、米の仲買で財を成し、明治にこの庭園を手に入れました。

 目の前で揖斐川と長良川が合流し、東海道唯一の海路、七里の渡し跡も残っています。

 交通と流通の要所だったことが分かります。

 この煉瓦造りの米蔵も明治期のもので、文化財に指定されています。

 菖蒲池を中心とした回遊型の庭園で、その名の菖蒲が満開です。

 白に淡い紫。

 濃い紫と、緑のスラッとした葉に良く映えます。

 推敲亭という草庵がポツンと建っています。

 この時代の豪商は、何とセンスが良いのかと思います。

 現代なら、秀吉よろしく2、3割は金ピカになっていそうなものですが。

 横にある織部灯篭は古田織部考案と言われ、下部に見える人型の彫が見てとれます。

 キリシタン禁制の時代、信者が用いたものが、茶庭の趣のひとつとして残ったとも言われているそうです。

 昼を少し回りましたが、駅前まで戻り昼食をとることに。

 満席の餃子屋があり、かなりいい感じだったのでのぞいてみると「今、満席」と、とりつくにべもなし。

 いくら美味しくても、その感じはノーサンキューなので他の店をのぞきます。

 懐かしのドムドムがありました。

 昔、近所にあったので良く行きました。しかしハンバーガーもパス。

 客入りの差がかなり激しく、一番入っている店にしました。

 蕎麦と中華そばがメニューにあり、若干いぶかりながら入ったのですが、これが大正解でした。

 ラーメンではなく中華そば。

 出汁がしっかり効いており、あっさりにも関わらず味はしっかりで、とても美味しかったのです。

 無駄なお金を使いたい人は居ません。客の入りとはつくずく正直なものです。

 名物という「安永餅(やすながもち)」も頂きました。

 寛永の時代につくられた旅人のお菓子ということで、餡子入りの餅。

 江戸時代から売れ続けている訳で、間違いのない味でした。

 電車で出掛ける時は、ジョギング用のスニーカーを履き、歩きに歩きます。

 一日歩きまわって、行き帰りの電車で本を読んで、ちょっと美味しいものを食べて。

 昔仕事を一緒にしたコピーライターの人が、「趣味はお出掛け」と書いていました。

 私の場合は「遠出」でしょうか。遠ければ遠い程、ときめくのです。

 大阪もインバウンド効果で潤っています。その時に、一番心象を左右するのは、人だということは、肝に銘じておいた方が良いと思います。

 観光客がお金にしか見えていない店主のあなた。

 ばれていないと思っているのは、本人だけなのですよ。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記