カテゴリー別アーカイブ: 06 スポーツ

相手がいなければ、勝利も敗北もない‐1536‐

 日曜日は雨予報だったのが一転して快晴に。

 長男が卓球の試合で、奈良の橿原公苑まで行ってきました。

 橿原神宮は大和三山のひとつ、畝傍山の麓にあります。

 こちらは同じく橿原市にある耳成山。

 大和三山は、耳成山を北の頂点として、南西の畝傍山、南東の天香久山と正三角形のような配置で並んでいます。

 橿原神宮のすぐそばにあるジェイテクトアリーナは立派な建物でした。

 誰の作品かまではたどり着けませんでしたが、よくデザインされています。

 外壁とも屋根ともいえるファサードは、プレキャストコンクリートでしょうか。

 洗出しの表情になっており、オリジナリティを感じるのです。

 観客席は生徒、その保護者で一杯。

 アリーナには所狭しと卓球台が並びます。

 プロリーグが開幕し、男女とも世界のトップレベルで戦う選手の存在が、このスポーツを盛り上げるのでしょう。

 会場からは熱気が溢れています。

 長男は中学に入って卓球を始めたのですが、試合を観に来たのは初めて。

 「観てるほうが緊張するわ!」と言い出したら大阪のオッチャン、オバチャンの仲間入り。

 なので言いません。ですが、多少緊張するのは事実です。

 つい最近、ラケットのラバーを変えたばかりで、「まだ慣れてないから自信がない」と言っていました。

 「裏ソフト」とか「ツブ高」とかいう言葉で表現されるのですが、攻撃型、守備型、カットマンなど、それぞれの特徴で組み合わせるそうです。

 試合が始まりました。

 サーブで何ポイントか取っていたので、これは武器になりそうです。親の目ですが、かなり回転がかかっている感じ。

 サーブは2本ずつ交代。11点とれば勝ちで、3セット取れば勝利です。

 出だしはバタバタしたものの、3セット連取で勝利を納めてくれました。

 卓球はセット毎に、ベンチコーチからアドバイスを貰えます。

 彼のチームメイトにトップレベルの選手が居り、アドバイスを貰うと、勝率がぐっと上がるそうです。

 この日も、2セット目からは危なげない試合展開でした。

 後で彼に聞いてみたのですが、相手選手の弱点が見えたのでそれをアドバイスしたとのこと。

 トップに居るだけあって、流石にその観察眼は確かです。

 昼から用事があったので、1試合だけのつもりでしたが、彼の試合まで残って観てみました。

 無用にスマッシュで勝負するのでなく、粘り強く的確に台の奥深い、打ちにくいところへ返していきます。

 これは安定して強いだろうなと、納得したのです。

 先日、入社試験に参加していた学生から、「辞退させて頂きます」とメールが送られてきました。

 3日目が終わったあと、続けるかどうかを尋ねるからと言っていたのですが、1日目が終了し、2日目が始まる前でした。

 「目が泳ぐ」という表現がありますが、これは自分のことを最優先している状態です。

 何かに興味があれば、そちらを見ますから。

 よく見る。そして相手のことを知ろうとする。

 これは仕事でもスポーツでも全く同じです。相手をやっつけることと、興味を持つことはそう違わないかもしれません。

 スポーツに打ち込み、勝つ。これは最高の成功体験です。

 しかし上を目指すなら、全身全霊をかけて練習に打ち込んでも負けます。そして、上には上が居ると知るのです。

 自分が選んだスポーツなので、あまり口出しするつもりはありません。

 しかし、長男に「試合が終わったあとの礼や握手は、もうちょっと丁寧にした方がいいな」とアドバイスしました。

 勝利の喜びも、敗北の悔しさも、相手がいなければ味わうことはありません。これは、スポーツというくくりを外しても全く同じです。

 あまりにも、自分にしか興味のない人が増えていると感じるのは私の思い過ごしでしょうか。

 チームメイトの彼は、帰ろうとする選手を追いかけて行き、握手をしていました。

 そんな小さなことの積み重ねが、人生を好転させるのだと思っているのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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一流は柔らかい‐1529‐

 「女心と秋の空」とはよく言ったものです。

 雲の形も目まぐるしく変化していきます。

 一瞬とて、同じ形にはとどまりません。見ていて飽きることがないのです。

 「リベンジ」という言葉が、一般的に知られたのは松坂大輔投手がインタビューで使ってからだと思います。

 現在は中日ドラゴンズに所属しますが、当時は西武ライオンズで、文字通り日本の頂点に君臨する投手でした。

 「リベンジ」は復讐すること、報復、仇討ち等を意味しますが、スポーツ等では、一度負けた相手に借りを返すという使い書い方が主流です。

 私の記憶が正しければ、この使い方を初めにしたのは、格闘技業界だったと思います。

 若い頃はプロレス、K-1、総合格闘技が大好きで、専門誌を毎週買う程だったので、おそらく間違いないと思います。

 更に「アベンジ」という言葉も見つけ、調べてみると以下のような説明がありました。

 リベンジが個人的な理由による復讐であるのに対し、アベンジは正義感による悪への報復という意味合いをもつ。

 なるほど、だから「アベンジャーズ」だったのです。

 「アベンジャーズ」は、アメリカの『MARVEL』(マーベルコミックス)から出版されたコミックです。

 長男が大好きで、最新作も映画館へ観に行っていました。

 これは長男が部屋に貼っているポスターです。

 それで、筆箱も『MARVEL』。

 それに影響を受けた娘も『MARVEL』。

 この重石のようなものも『MARVEL』。

 用途が何かは知らないのですが、確かに格好いいのです。

 「マーベル」も調べてみるとは驚く、驚嘆するという意味でした。だから「マーベラス」は驚く程素晴らしいという意味だったのかと納得しました。

 知っているようで知らないことばかりです。

 松坂投手が「リベンジ」をインタビューで使った時、メディアは一斉に取り上げましたが、私は多少違和感を持っていました。

 力と技がぶつかり合うスポーツの世界で、何となく私闘を連想させる「リベンジ」は合っていない気がしました。

 例えば、当社が設計コンペで負けたとして、「次はリベンジだ」は、合っていない気がします。力不足で負けたので、復讐する必要などありませんから。

 また、相手が「悪」な訳でもないので「アベンジ」もマッチしませんが、どちらかと言えば仕事は「アベンジ」よりでやりたいと思うのです。

 リベンジよりアベンジよりで、マーベラスな仕事を、という感じでしょうか。

 1980年生まれの松坂投手は現在38歳。

 今シーズンの終盤、日本球界では「松坂世代」の引退が話題になっていました。

 今年の活躍までは、何度も引退の声を耳にしました。それでもスタイルを変えながら、ここまで現役を続け、また、ファンから支持されてきたのです。

 松坂投手の魅力は、この春にも一度書きました

 加えて言うなら、一流で居続ける人は「柔らかい」気がします。

 上り詰めるまでは、死にもの狂いで頑張るしかないのだと思いますが、「居続ける」ということは変化し続けるということです。

 雲が変化を望んでいる訳でなく、風や大気の状態が、そうさせるのです。

 人は雲と違って意思があるので、全てが風任せとはならないでしょう。

 しかし、抗うだけでなく変化することを意識しなければ、ただ疲弊するだけで、人生が終わってしまうかもしれません。
 
 およそ私が不得手だった「柔らかい」。しかし、それは確実に、極めて大切なことのような気がしています。

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サッカーとワールドカップの魅力‐1497‐ 

 火曜日は多くの人と同様に、早朝3:00に起きました。

 前日は21:00に寝たので睡眠は6時間。準備万端です。長男は定期考査中にも関わらず、4:00起きで後半から一緒に応援しました。

 結果と内容は私が書くまでもありませんが、本当に惜しい、悔しい試合でした。

 優勝候補の一角で、FIFAランキング3位。フランスとオランダ、ドイツに挟まれた人口1100万人のベルギー。チョコレートとビールで知られ、東京都民より少ない国民の代表は、史上最強の呼び声通り本当に強かった。

 多くの選手がプレミアリーグ等のトップチームで主力を張り、それが控え選手までに及んでいるというチームです。

 日本も、控えに本田圭佑がいるという時代になりましたが、層の厚みは明らかに違いました。

 4年掛けて準備し、成熟してきた、史上最強の代表チームに、2ヵ月前に監督が交代し、戦術が変更された日本が、ここまでやれたことは、奇跡に近いのではと思います。

 もしこのワールドカップを戦った主力メンバーが、より多くの時間を共有し、その関係をより成熟させていたなら……

 「たら」「れば」を積み重ねても仕方がありませんが、和を尊ぶがゆえ、決断が遅くなるという傾向を、日本サッカー協会と私たちは理解しておく必要がありそうです。

 香川、柴崎、吉田、昌子と多くの功労者が居る中でも、乾のインタビューを聞いていると、本当に真面目なんだろうなと感じます。

 そして、やはり努力は報われるんだと思えます。

 本気の本田圭佑の言葉が聞けなくなると思うと、寂しい限りですが、中田英寿が引退した時とはまた違う印象もあるのです。

 それぞれが、4年先を見据えてまた高みを目指して頑張って欲しいし、私たちも日々頑張らなければと思えます。

 サッカーというスポーツが、なぜこれだけ多くの人たちを魅了するのか。またワールドカップに熱狂するのか。

 裸足でもボール1つあれば出来るこのスポーツは、多くの人に平等に機会を与え、また差も与えます。

 極めて単純なルールの中でも、人類の進化にとって最も重要だった手の使用を禁じたことが、最大の要因でしょう。

 元日本代表監督だった、イビチャ・オシムはこう言っていました。

 例えば日本人はバスケットボールでは、アメリカのレベルに達するのは難しいだろう。

 それは現時点で日本人が体格的に劣るからだ。

 しかしサッカーは違う。

  サッカーなら日本人にも不利なく戦える。

 また、日本が目指すべきところについてはこう語っていました。

 いつも自分の家に帰りなさい。

  必ず他の場所へ行けばいいというものではない。

 自分の家に帰って、もっと自分のこと、つまり日本のことをもっと考えるべきなのだ。

  欧米でのテレビやドラマをみて海外に憧れをいだくかもしれないがそれはよくない。

 模倣すれば模倣以上のものは生まれないからだ。

 極めてシンプルであるからこそ、工夫と哲学を必要とするスポーツが、オシムという思想家を育くむのでしょう。

 この哲学は、前回書いた明治、大正の思想家、岡倉天心の言葉とほぼ同じです。

 「4年後も目指す」と宣言した、岡崎のパーソナルトレーナーは、同じ番組内でこう語っていました。

 彼は、オリンピックの400mリレーで、6位入賞の経験がある生粋のアスリートです。

 サッカーでなければ、通用しない。

 それ程、元々の身体能力が高かった訳ではなかったという意味です。

 しかし、地道なトレーニングによって、2年前にプレミアリーグでの優勝に大きく貢献する選手となりました。

 それが起こり得るのがサッカーです。

 人は生きるために闘争本能を持っています。武器を使わない戦争の言葉通り、国と国の威信をかけた真剣勝負に人は魅了されます。

 選手はリスペクトしあえる仲間と、頂点を目指して戦うこと以上に達成感のあることはないでしょう。

・元々の能力より日々のトレーニング。

・個の能力だけでなく、チームとしての総合力。

・同じ目的を共有できたとき、最高のパフォーマンスが発揮される。

 こう並べると、日々の仕事と全く同じです。サッカー=仕事と置き換えても何ら問題ありません。

 更に、その目的を最も高い位置に設定すれば、ワールドカップを目指す、ナショナルチームと同じになります。

 仕事も、サッカーも、プライベートも、どこにも境界などありません。

 それをつくっているのは、いつも自分の小さな都合だと思うのです。

 先日訪れた、京都国立近代美術館にはピカソがありました。

 折角やるなら世界一。

 折角見るなら、本物を見るべきです。

 本当に良いものを見せて貰いました。

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サッカーも、人生も、実に単純だ‐1493‐ 

 サッカーのワールドカップ、ロシア大会が始まりました。

 日本代表は19日(火)のコロンビア戦を「歴史的勝利」で飾るという最高のスタートを切りました。

 海外メディアも大番狂わせという報道です。

 1人少ないとは言え、強豪相手に引き分けで終わらなかったことが、日本のサッカー文化をまた一歩前進させることになるのでしょう。

 後半25分に出てきて、すぐに大迫の勝ち越しゴールをコーナーキックで演出した本田圭佑。

 「プロフェッショナルとはケイスケ・ホンダ」

 そう言うだけの迫力はみせてくれます。

 随分前の新聞ですが、名選手3人の言葉が載っていました。

 サッカーは実に単純だ。俺がシュートを全て止めればチームが負けることはない。

  ジャンルイジ・ブッフォン

 イタリア代表のゴールを20年間守ってきた大ベテランは、ロシア大会を最後に引退を表明していました。

 しかし、優勝4回を誇るイタリアは今大会の出場を逃しています。

 ボールをキープしていれば、相手は得点できない。

  ヨハン・クライフ

 近代サッカーの開拓者で、トータルフットボールを体現した名選手であり、名監督。強豪オランダも今回は予選で敗退しています。

 サッカーは単純だ。22人がボールを奪いあい 最後はドイツが勝つ。

 ゲーリー・リネカー

 1986年のメキシコ大会で得点王となり、選手としてのキャリアを名古屋グランパスで終えたイングランドのストライカー。

 ワールドカップになると、滅法の強さを発揮するドイツを指したアイロニックジョークですが、2014年ブラジル大会は、リネカーの言葉通りとなりました。

 ヨーロッパ人独特の言い回しなのかもしれませんが、どことなくネガティブな印象も持ってしまうのです。

 話のスケールが、ワールドから急に半径3mになります。

 前回、友人の店で朝方まで飲んでいたと書きました。

 滅多にないことが続くもので、翌日の夕方からOhanaでのBBQに呼んで貰っていました。

 近畿の駅100選に選ばれた京阪萱島駅。

 その近くにある写真スタジオで、竣工は2009年です。

 人の身長ほどしかなかったオリーブが、ここまで成長しました。

 年1回、ここに訪れる機会を楽しみにしているのです。

 買い出しも準備も、すべてカメラマンの石井さんが済ませてくれていました。

 親族がドイツから直接持ち帰ってくれたというビールまで。

 本当に幸せな時間でした。

 設計終盤は、何とか金額を合わせるのに精一杯でしたが、粘り強く打合せをして良かったと思います。

 石井さんはとにかく明るく、めげない人で、そのパーソナリティに随分救われたと思います。

 勝負事において「もし」は禁句ですが、日本代表の監督交代がなければ、本田選手のアシストの場面はやってこなかったかもしれません。

 やはり、幸運はどこまで行っても前向きな人の所にやってくるし、自力で引き寄せるしかないのだと思います。ネガティブな言葉を発すれば、少なくとも良い側へ転ぶことはありません。

 多くの成功者がそうするのを見て、ネガティブな言葉は限界まで使わないよう、私も心掛けているつもりです。

 昨日寝てない、頭がちょっと重い……そんなことは、周りの人からすれば、知ったことではありません。

 大体遊びなので、嫌なら行かなければ良いのですから。

 そんなことを書いている時点で、私のスケールが知れてしまいますが、そう心掛けるだけで、この日も素晴らしく楽しかったのです。

 誰からも、どんな事からも学ぶことはできます。

 やはり、サッカーも人生も、実に単純だと思うのです。

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数字と心の微妙な関係‐1471‐

 誰もがふれたくなる、大谷翔平選手の活躍です。

 高校をでて5年間、日本のプロ野球では前人未踏の2桁勝利、20本塁打という結果をだし、昨冬アメリカへ。

 高校時代よりメジャー挑戦を表明していましたが、二刀流を容認、支持した日本ハムファイターズに入団しました。

 その際は、甘いルックスもあってか、才能は溢れるが意思の弱い若者なのかなと思っていました。

 メジャー初打席で初球を安打。初登板初勝利。2試合目でホームラン、3安打も驚きましたが、2戦連発とは。

 「お見それしました」としか言いようがありません。

 流石はイチローをして、世界一の才能と言わしめた選手です。

 野球少年だった私にとって、伝記で読んだ名選手、ベーブ・ルースを超える選手を、実際みれるかもしれないことに心躍るのです。

 3月に立ち寄った南禅寺には国宝「方丈」があります。

 妻面にある入口をくぐり、左へ曲がると方丈庭園が見えてきます。

 江戸時代前期に活躍した茶人、小堀遠州作と言われています。

 最小の素材で表現をする枯山水の庭園ですが、中でも彼の作風は「きれい寂び」と言われます。

 庭に「空間」という概念を持ち込んでいるのがよく分かります。

 廊下を進むとこちらも国宝の小方丈があります。

 その前に広がる小方丈庭園は、別名「如心庭」。字の如く「心」字型に庭石が配置されています。

 柴山全慶老子が、「心を表現せよ」と熱心に指導したそうです。

 裏へ回ると、更に庭園が続きます。

 竹と荻で構成された垣は「南禅寺垣」と呼ぶそう。

 人の心を動かすため、足を運んで貰うために、常に創意工夫を重ね続けてきた手跡が見えるのです。

 先のピョンチャンオリンピックでは、スノーボードとアルペンスキーで2つの金メダルを獲得した選手が現れました。

 チェコのエステル・レデツカ選手ですが、アルペンスキーをしていた私としては、両種目オリンピック出場だけでも想像を超えているのに、2つの金メダルとは……絶句したのです。

 大谷選手のファイターズ入団時、日本球界で名選手だった多くのご意見番が、二刀流に対して懐疑的な見解をだしました。

 伝説的な名選手ばかりですからアドバイスは聞くべきだと思いますし、プロの世界は甘くないという論調も十分理解できます。

 その中に、「どっちつかずになるのでは」というものがありました。

 1日24時間、1年365日はみな平等です。その限られた時間の中で、投手の練習も、打者の練習も精一杯やれば、どっちつかずという表現は合っていないかもしれません。

 投手に打ち込めば、200勝以上できるかもしれません。

 打者に絞れば、700本以上のホームランを打てるかもしれません。

 しかし、それは「数字」というものに重きを置いた視点だと言えます。

 人生において最も大切な、幸せや充実は心が決めます。

 自身の充実や、観客の感激にフォーカスするなら、大谷選手の選択は、極めて当たり前のものとも言えます。

 ピッチャーだけしか、打者だけしかやってはいけないと言われたら、多くの少年は野球を辞めるでしょう。

 その選択を100年もの間、トップアスリートたちがしていなかったことになります。

 いくら仕事が充実しているからといって、給料を払えない会社に入ってくれる社員は居ません。

 よって、普遍的価値を生む数字もとても大切です。

 それでも、数字を越えたところへ行ききってしまった、大谷選手をみると、新たな勇気が湧いてきます。

 体は大変でしょうが、少しでも長く頑張って欲しいと思います。

 100年に一度のスーパースターを観ることで、やはり心に従いたいと思えるのです。

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球春にみる。惚れてまうやろ~‐1466‐

 今日は曇り空でしたが、気温は一気に春めいてきました。

 街路樹のハナミズキが満開です。

 ハナミズキはアメリカ原産だけあり、花がやや大ぶり。近い種でいえば、ヤマボウシのほうが好みではあります。

 しかし、クライアントにハナミズキファンは結構多いのです。

 そんなこともあって、まじまじと見ていると、花弁の付け根が薄桃色なのを知りました。

 よく見れば、なかなかに可愛らしいものだなあと。

 3ヵ月点検で伺ったお家の花壇です。

 また現場日記で触れるのですが、草木は一気に春の装いです。

 元野球少年の私にとって、「球春」は春に現実味を持たせてくれる言葉です。

 大人になり、野球中継を観ることはなくなりましたが、今年気になるのは松坂大輔投手です。

 メジャーリーグから日本に戻って3年間。ソフトバンクホークスで結果が出せなかった彼は、中日ドラゴンズに移籍しました。

 スポーツ情報番組で、彼のインタビューをみる機会がありました。

 プロ入り1年目。イチローとの初対決は3打席連続三振。記憶に残る場面です。

 そして

 今日で「自信」から「確信」に変わりました。

 という言葉を残しました。

 イチロー渡米の6年後、追うように松坂大輔もメジャーへ。2007年のことです。

 生涯最高のバッターは「イチロー」と断言しました。

 他のバッターは自分の投球をすれば抑えられるが、イチローさんだけは、あらゆる手を使って抑えに行かなければ「切られる」感じと言いました。

 そのイチロー選手は、古巣マリナーズに復帰が決まりました。

 2人は、互いを認め合う仲とききます。

 50歳まで現役を公言するイチロー。

 コーチ兼任を断り、あくまで現役一本に拘った松坂大輔。

 もしかすると見納めになってしまうのではということもあり、更に気になるのでしょう。

 2006年、松坂大輔投手の座右の銘を知った時、心の中で何か大きな歯車が動いた感じがしました。

 「目標がその日その日を支配する」

 後藤静香の詩「第一歩」にある言葉です。

 目標は明確だったのか。1日、1日を支配できていたのか。

 12年間もの時間を、懸命に生きてきたのか……

 縁もゆかりもなく、いち野球ファンでしかありませんが、こういう気持ちにさせて貰えるだけで有り難いと思えます。

 最後に。

 松坂選手のインタビューを見て感じたのは、あれだけの実績を持ちながら、あの柔和な笑顔と人懐っこさ。大人の男でも「惚れてまうやろ~」という感じではないでしょうか。

 頑張れ大輔、そして自分。

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『住人十色』撮影現場で1/1の真実を見る‐1460‐

 昨日でピョンチャンオリンピックが閉幕しました。

 今回はメダルラッシュと言ってよい日本勢の活躍。

 中でも、身長155cmの小柄な体で、金メダル2個を獲得したスピードスケートの髙木菜那選手は気になります。

 優秀な妹を持つ姉が、この結果を出した過程を、これからメディアが詳らかにしてくれるでしょう。楽しみです。

 日曜日は曇り予報で、朝から気をもんでいました。

 4月14日(土)放映の「回遊できる家」『住人十色』取材日だったのですが、写真撮影なら延期していたでしょうか。

 しかし、テレビはそう簡単に中止できません。

 何せ人手がかかるのがテレビです。

 午後からのぞきに行ってきましたが、着いたのがまさにカメラが回る瞬間。

 やや迷惑をかけてしまいました。

 2日間ある撮影日のうち、この日はタレントさん有りの日。

 現場としては1分でも時間が惜しいはずです。

 すぐにカメラ反対側の子供部屋に移動し、後ろからのぞいていました。

 タレントさんを写さないのがルールで、ちょっと偏った写真ですが、ご夫妻ともなかなかに楽しそうです。

 出番待ちの長男君と次男君は、ゲームをしながら待機中。

 3歳の娘さんは、ADさんと遊んでいます。

 撮影クルー各々が、撮影をスムーズに進めるために動いているのです。

 そんな中、私が子供を連れて行ったので、若干「空気読めてない」感も伝わってきました。

 それは当然ですし、承知の上です。

 長男のクラブが休み、娘も家に居り、私も休み。

 また、自分の現場でなければ、ゆっくりロケを見ることは出来ません。

 タイミングが合えば、撮影の現場を見せておきたいと思っていました。

 ご夫妻とタレントさんのトークが続く中、1歳の三男君が、泣きながら駆け込んできました。

 昼寝から目が覚めたのです。

 撮影が一旦中断したタイミングでご家族に挨拶し、失礼したのです。

 どうだった?と長男に聞くと「面白かった」と。

 娘に聞くと「別に」と。

 どんなことにワクワクするかは人それぞれなので、何かを誘導したいということはありません。

 ただ、見たことがあれば、正しいスケール感で想像はできます。

 子供達は卓球をしているのですが、張本選手が出ている試合は、食い入るように見ています。

 彼はまだ14歳。目標にして頑張ってみたらとけしかけると「そんなん無理やわ」と。

 長男などは結構頑張っているようで、県の団体戦ですが3位に入っていました。

 小さな画面の中でみると、つい箱の中のスーパーマンの世界に見えてしまうものです。

 根拠のない自信は駄目ですが、サッカー元日本代表監督、イビチャ・オシムのいうスターマニアになってもならないのです。

 設計図面でもそうですが、1/1に勝る図面はありません。

 テレビの画面が大きくなったとはいえ、さすがに1/1でみれるテレビはそうありません。

 オリンピックの金メダリストも生身の人間です。

 世界一の能力を持っているのですが、髙木菜那選手なら155cmの女性であるのは、間違いのない事実です。

 当たり前ですが、1/1の真実を見たければ、その場に立つしかなありません。

 テレビジョンは、テレ=遠くとビジョン=視野、視界を合わせた造語。

 その効用と、弊害をどちらも理解し、活かせるとよいのですが。

小さな歓声、小さな成功体験‐1457‐

 月曜日、ジャンプの高梨沙羅選手は3位に入りました。

 前回の4位と銅メダルの差は、明るい涙が物語っていました。まだ21歳。次回は頂点に立つ姿を見たいものです。

 彼女のワールドカップ53勝は最多勝タイ。もうひとりはオーストリアの28歳、アルペンスキーのマルセル・ヒルシャー選手です。

 自分が試合に出なくなり、全くアンテナを張っていませんでしたが、ワールドカップで6年連続総合優勝をなし遂げています。

 「総合」とあるのは、アルペンスキーは主に4つの種目があり、種目別優勝もあるからです。

 コース内の旗門をくぐりタイムを競うのは同じですが、最も旗門がすくなく、最もスピードがでるのが「滑降」です。

 ピョンチャンのコースでは最高速度が120km/h。

 そこから「スーパー大回転」「大回転」「回転」と旗門数が多くなり、ターンはより細かくなって行きます。

 「回転」では、ターン技術や俊敏性が求められるので、「滑降」とは必要とされる筋力も変わっくるのです。

 「滑降」と「スーパー大回転」を『高速系』、「大回転」と「回転」を『技術系』と区分けします。

 マルセル・ヒルシャーは主に『技術系』の2種目にエントリーする選手。

 2016-2017シーズンまでの総合6連覇の間、「回転」「大回転」ともに4度の種目別優勝。まさに絶対王者です。

 しかしその彼も、オリンピックでは2014年ソチ大会で、回転の銀メダルのみでした。

 5つ目の種目として、「滑降」と「回転」という両極端な種目の合計タイムで競う、「複合」という種目があります。

 火曜日に、この種目で男子アルペンスキーは開幕しました。

 まず前半は滑降。

 ヒルシャー選手と、『高速系』のスペシャリストとの差は僅か1.32秒。安定した滑りで7位につけました。

 そして後半は得意の「回転」。

 前半の急斜面は、少しセーブしている感もありましたが、中盤から後半の滑りは圧巻。

 早く美しい。

 6人を残してトップに立ったのです。

 2位のフランス人選手に0.2秒差に迫られましたが、そのまま逃げ切って、悲願の金メダルを手にしたのです。

 絶対王者でも、簡単に勝たせてくれないのがオリンピックなのです。

 極上のドキュメンタリー映画を観せて貰ったような気分でした。

 まさか、世界最高の選手と張り合うつもりはありませんが、「回転」は私が最も得意としていた種目でした。

 大学3回生の3月。岩岳で開催される、日本一大きな草大会に出場しました。

 スタート順はほぼ最後尾の394番。1本目、荒れに荒れたコースを攻めて、300人抜きの100位に入りました。ゴールエリアで僅かに歓声があがったのです。

 回転は、1本目が早かった順からスタートし、2本合計で競います。2本目はコース状況も良いので、100人抜きのつもりで攻めました。

 が、気負いすぎて片足通過反則でタイムなし。この日で大学のスキー生活は終わったのです。

 この日の1本目が、私にとって人生最高のランでした。

 体格に恵まれなくても、環境に恵まれなくても、仕事だけは頑張った分だけ応えてくれます。

 しかし、何かしらの小さな成功体験があったからこそ、頑張れるのかもしれません。

 1993年の3月。

 春のスキー場で聞いた小さな歓声は、私の人生に少しの勇気を与えてくれました。

 トップ選手であれ、アマチュアであれ、スポーツは人生の縮図だと思うのです。

這ってでも、光へ向かって‐1456‐

 建国記念日の朝は、大阪でも雪積がありました。

 青空と雪のコントラストは本当に美しいもの。

 自分の住む街だから、なお更なのかもしれません。

 普段はパッとしない公園も(失礼)、まるでキャンパスのようです。

 子供達は早速雪遊びです。

 大阪で積雪があったのは7、8年振りでしょうか。

 隣の塀の上には雪だんごが残っていました。

 小さいお子さんがいるのです。

 私のジョギングコースには結構お寺があります。

 瓦屋根と雪の景色もなかなか相性が良いもの。

 あるお寺の前に、今日はこの言葉が張り出されていました。

 諦めるな 光に向かって

 這って 行きなさい

 昨年のノーベル平和賞で、広島で被爆したサーロー節子さんが、被爆者として初めて演説したときの一文でした。

 壊された建物の瓦礫の中で、誰かが励ましてくれた時の言葉だそうです。非常に暗示的でもあります。

 先週末にピョンチャン(平昌)オリンピックが開幕しました。

 政治ゲームが透けて見えるのだけは勘弁してもらいたいですが、アルペンスキーは、日本、他国を問わず気になります。

 最も気になるのはジャンプの高梨沙羅選手。

 前回のソチオリンピック時は、絶対王者としてのぞみながら、苦汁をなめました。

 男女を通じてワールドカップ最多勝のレベルにある選手ですが、オリンピック前のワールドカップでは、メダル圏を行き来する状況のようです。

 4年に1度という時間軸が、選手の人生を翻弄するのがオリンピックですが、何とか文字通り雪辱を晴らして貰いたいものです。

 予定通りなら、今晩が試合開催のよう。応援したいと思います。

 這ってでも、光へ向かって頑張れ!

ともよ‐1455‐

 福井県が大雪となっているようです。

 スキージャム勝山だったり、今庄365だったり、福井には結構スキー場があります。

 雪が降らなければ話にならないし、降りすぎては国道が麻痺。連休の書きいれ時を前に、気をもむところでしょう。

 前に一度、友人論を書いたことがあります。

・友達は、別に帰る場所がある。

・家族ではないので責任は負わない。

・双方向の関係である。

 この時は、私にとって初めての友人のことを書きました。

 月曜日、スキーのことを書きながら、ある友人のことを考えていました。

 2、3歳の頃からスキーをしていたので、自分よりスキーが上手だと思う子供と会ったことがありませんでした。

 70年代の大阪の下町。スキーをしたことがない子供が大多数で、当たり前と言えば当たり前です。

 雪国へ行けばいくらでもいるのですが、そこは別ものと勝手に区分けしていました。子供のことなのでひとまずご容赦下さい。

 小学6年生の時、ある公立中学の修学旅行に同行させて貰うことになりました。

 当時、大阪の公立中学は、スキー修学旅行が多かったのです。

 父が「どうせスキーをするのなら、しっかりした人から教えて貰った方がいい」と思ったのだと思います。

 道具を買っていたスキーショップの専務に相談すると、ある中学校の体育の先生に話が行ったようです。

 全く縁のない中学の修学旅行に参加するという、不思議なことになりました。

 アルペンスキーをしている人でも、先生は結構多いのです。

 それで、SAJ(全日本スキー連盟)の検定試験(バッジテスト)の指導員も多くおられ、修学旅行自体がそのバッジテストの練習を含んでいました。

 それに参加してみたらという話になったのでしょう。私と弟、近所の友人兄弟の4人での参加でしたが、言ってみればスキー武者修行です。

 引率する先生のお子さんも数名参加していて、その中に5年生の男の子がいました。

 ちょっと勝気で長身の彼は、そのバッジテストで確か2級に合格しました。

 私は3級を取得したのですが、その違いはショートターンのあるなしだったと思います。

 自分ではショートターンも出来ると思っていたのですが、2級以上を受けさせて貰えず、明らかな差がでました。

 年下の長身君の方が上手いと認識せざるをえなかったのです。

 大学に入り、2回生からアルペンスキーをはじめたのですが、その5月だったかに、この長身君と再会しました。

 彼もある大学のスキー部に入部していたのです。

 小学生以来でしたが、顔を見ればお互いすぐに思い出しました。同じような年代なので、国体予選でも一緒になります。

 彼が大学3回、私が4回の時、彼は大阪予選を勝ち抜き、国体へ行きました。この時も完敗だったのです。

 時々顔を会わすと「先輩、先輩」と本当に人なつっこい、可愛げのある男だったのです。

 大学をでて、彼は警察官になりました。

 私が精神的にまいっている頃、誰に聞いたのか、事務所を訪ねてきました。

 彼も仕事をはじめ、肉体的にも、精神的にも大変なようでしたが、昔話をし、私を励まして帰って行ったのです。それが最後の機会になったのです。

 15年程前、彼が急逝したという連絡がありました。死因はよく分からず、突然死と聞きました。

 私は3年弱の鬱からようやく抜け出し、さあ第2期アトリエmのスタートだと燃えていた時期です。会う機会が多かった訳ではありませんが、同志のような後輩でした。

 今度は、先輩として私が彼の話を聞いてあげなければならなかったのに……

 「双方向」というのは一方的でないということです。

 与え与えられ、それが互いに好ましく、持続するということは、簡単なことではありません。

 人は2度死ぬといいます。
 
 体が滅びる時と、人の記憶から消える時です。

 向かいに住んでいた彼も、長身の彼も、いまこの世にはいませんが、私の心の中では生き続けています。

 もし自分が反対の立場なら、誰かの心の中で生き続けるのだろうか……

 そんなことを考えるのは、精一杯生きて、命絶えてからにしようと思います。

 昨年、ようやく彼のお墓の場所を人づてに聞きました。

 ともよ、今年は墓参りに行くから。