「美の巨人たち」という番組を、毎週録画しています。
今月初め、クロード・モネが取り上げられていました。「サン・ラザール駅」や「睡蓮」の連作へ至るまでがクローズアップされていましたが、私にとってはやはり「印象・日の出」です。
大学生の頃、「ラ ミューズ」という雑誌が発刊されました。
50回で完結するシリーズ本でした。続いて発売された「グレート・アーティスト」は100週で完結。どちらも全巻買い、今も事務所の本棚にあります。
美術書と言えば分厚く、高価なものでしたが、これらの本は500円。週刊誌のように読みやすい構成で、発売を楽しみにしていたものです。
作家の友人が「日本では<印象派>と言う文字が入っていないと、お客さんが来ないと言っていました。
絵画展では、日本でも圧倒的な人気を誇ります。その始まりとなったのがモネの「印象・日の出」。
「ラ ミューズ17」マルモッタン美術館 PARIS の6、7ページです。
初めての海外旅行はパリでした。1年で設計事務所をクビになり、その失業保険が30万円ほどでました。即、フランスへ。
まずはル・コルビュジエ設計の「ロンシャンの教会」を見るのが目的でした。
しかし同じくらい、ルーブル、オルセー等の美術館で本物が見たかったのです。「印象・日の出」は最も楽しみにしていました。
1874年、故郷ル・アーブルの港町を描いたこの絵には「日の出」という名前が付けられていました。
それではあまりにも素っ気なさ過ぎると言う声に、モネは「じゃあ『印象』と付け加えてくれ」と答えます。彼が34歳の時です。
この作品が、評価をされはじめたのはおよそ100年後。それまでは、酷評され、買い手が破産し、女性問題を引き起こし、あげくの果てに1985年には盗まれます。
しかし、あまりにも有名すぎ、買い手がつかず、5年後にこの美術館に戻って来るのです。そんな絵を実際に見てみたい。
24歳の私が、実際その絵の前に立った時、何を感じたか。全くもって記憶がないのです。印象の印象がない……
覚えていないというより、舞い上がっていたと言うのが正確かもしれません。思い出のマルモッタン。是非また訪れたいと思います。2回目は落ち着いて見れるはず。