弔辞

 先日ミッドタウンへ行った際、青山霊園の横を通りました。

 東京の真ん中に、大きな霊園があるものです。
 
 これだけ便利なところにあれば、まいり易いだろうと思います。

 人が亡くなるのは悲しいこと。その墓が無くなるのはもっと悲しいこと。徒然草だったでしょうか。

 1月15日に大島渚監督が亡くなりました。22日の告別式で坂本龍一が読んだ弔辞が掲載されていました。

 俳優経験のない彼のもとへ、大島渚監督が一人で出演交渉にやってきました。そこで彼は「音楽もやらせて下さい」と言ったというのです。そこで監督は「お願いします」と即決。この場面こそ映画です。

 坂本龍一というミュージシャンを「いけないルージュマジック」と「芸者ガールズ」くらいでしか知らない私は「教授」のニックネームの通り、クールでクレバーというイメージをもっていました。

 YMOというユニットで、すでに成功をおさめ、才能も実証済みだったはず。その本人が「あれから全てが変わった」と言うのですから、それだけの変化が起こった訳です。

 以前、赤塚不二夫の葬儀で、タモリが白紙を読んだという、弔辞が話題になりました。「私もあたなの作品の1つです」。流石、芸能界の最前線に立ち続ける訳だと、納得したものです。

 何かを極めた人への弔辞は、その人生の写し鏡のようにやはりドラマチックです。

 記事には「メリー・クリスマス ミスターローレンス」が流れる中、棺は運び出されたとありました。その光景を見たかったと言えば、あまりに非礼でしょうか。

 日本人初、アカデミー賞オリジナル作曲賞は、自分からの「音楽もやらせて下さい」から。ギネス最長寿テレビ番組は、場末のバーでのイグアナから。

 人生の転機と言うけれど、全て自分の行動からなんだな。この弔辞を繰り返し読み、そんなことを思っていました。

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