現場力

 先週の前半。午前中に1本の電話が掛かってきました。

 初めにスタッフの女性が出ました。

 彼女の最後の質問は

「失礼ですが、お名前をお聞きして宜しいでしょうか?」

 でした。建築相談と聞き代わると

 「プランは無料で作成して貰えるのですか?」

 という内容でした。

 それに対して私の返答は

 「求めて頂ける可能性があると感じたら、無料でさせて頂きます。よければ、また事務所に遊びに来て下さい」

 完全に駄目です。大きくは、2つの間違いがありました。

 1つ目は、webサイトに無料でプランすると書いてあるので、聞かれたなら「無料でします」と答えるべきです。嘘はありませんが、注釈は無用です。

 計画は、いつも多くの建築家と比べられるコンペだと思っています。報酬を担保するより、全力でプランを全考える方が、よほど事務所の為になると思っています。もちろん、選んで貰えないというイメージは一切持っていません。

 2つ目はスタッフが名前を聞いた事。

 普段から、問い合わせの際には、名前、連絡先は聞かなくて良いと言ってあります。

 例えば服を買いに行ったとき、名前を言えと言われたら、すぐに店を出るはずです。関係が出来上がるまでは、匿名性も大事だと思うのです。

 

 一昨年に竣工した写真スタジオOhanaの石井さんに、撮影の前はどんな準備をするんですか、と聞きました。

 「何もしませんよ。その時のひらめきが大事ですから」と。

 それが「現場力です」とも。
 
 知らない設計事務所に、電話するだけでも勇気が要ったはずです。その対応がこれでは。

 全ての仕事は、一本の電話から。

 スケジュールが立て込んでおり、皆にちょっとした慢心があったのかもしれません。

 その時、その現場で、どんな仕事が出来るかにかかっているのです。

一級建築士事務所 アトリエ m
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「現場力」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    いつも楽しく拝見させてもらっています。

    私はスタッフさんが名前を尋ねた事は、間違いだとは思いません。
    業務上に関わる電話なら、相手の氏名連絡先をお聞きするのが普通です。
    そして服を買うのと、家の設計を依頼するのとでは全く質が違うからです。

    親しき仲にも礼儀あり。
    初対面でまず自分から名前を名乗るのは当然の事です。それから関係性が始まるのです。

    どうかスタッフさんにそこまで叱らないであげて下さい(笑)

  2. SECRET: 0
    PASS:
    >naitho さま

    そうですね。お名前を聞くのは社会人として当然のことですものね。

    そう考えると私の事務所が普通でないのかもしれません。

    ただ叱るだけ、は出来るだけ辞めるようにしています。

    最後は必ず建設的な状態にもっていけるよう努力しています。

    努力、と書いているくらいなので、なかなか出来ていないのですが。

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