ことばの力-みなぎる編2-

 この秋に、司馬遼太郎の「坂の上の雲」がドラマ化されます。

 日露戦争を描いた壮大な歴史小説ですが、激動期を支えた多くの人物が登場します。彼らの言葉も、多く残されているのです。

 大臣だった児玉源太郎はその職を去って、実質的には格下である参謀本部次長に志願します。その職務は、ロシアに対しての作戦を練るもので、日本の将来を左右する仕事です。激戦となった203高地の戦いも、彼の手腕によって何とか結末を迎えられたのです。 

 日露戦争当時、最新の知識の持ち主が軍司令部に揃っていました。彼らはいわゆるエリートで、鎖国で軍事的に遅れをとた日本は、留学生を軍事先進国へ送り、最新の知識を学んでいたのです。

 よって知識は持っているが、成熟している訳ではなく、あくまで翻訳者の域を出ていませんでした。児玉が参謀本部で、彼らのような専門家に意見を聞くと、十中八、九、「それはできません」という答えを受けるのです。いつもその繰り返し。

 そこで彼は言い放ちます。

 「諸君はきのうの専門家であるかもしれん。しかしあすの専門家ではない」

 チャレンジしなければマイナスポイントは生まれません。しかし、それでは過去をなどるだけです。小さな失敗を恐れるより、成長や未来を求めるほうが、絶対に素晴らしいと思うのです。

 社会に出るまで繰り返される試験は、間違いを無くすことが、良い結果を生みます。しかし生きる事において、平均点が高い事に意味は無いと思います。喜びと苦労の平均値をとっても無意味だからです。

 その呪縛から解き放つことで、活き活きとした人生を送れるのだと思っています。その考えを、仕事を通して少しでも世に問うてみたいのです。

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