ことばの力-含蓄編2-

 人生とは永遠に重心を探し続ける秤のようなものだ。 by ヘリット・トーマス・リートフェルト(1888~1964)

 ピート・モンドリアンの抽象画は、学生時代から興味がありました。単純であるが故に心惹かれるという、初めての体験でもありました。

 そのモンドリアンと同じデ・ステイルという運動に参加していたのがリートフェルト。その象徴的な色使いで構成されているレッド・アンド・ブルーというイスが有名です。

 このイスに座ったとき、意外な座りやすさに驚かされました。

 リートフェルトが設計したオランダのユトレヒトにあるシュレーダー邸は、世界遺産に登録されています。

 その理由は、人間の創造力が生み出した傑作である、そして西洋建築の歴史上の重要かつユニークな象徴であること。最も好きな建築の一つです。

 そこで初めの言葉に戻りますが、最近妙に感じ入っています。

 何においても、最もバランスの良い、美しい点があるだろうと思っていましたが、それはある程度範囲のあるものだとイメージしていました。

 しかし考えてみると、太陽と地球は万有引力と遠心力のつり合う一点に有るからこそ、私達は存在しているのです。この一点以外なら、宇宙の藻屑と消えたか、または太陽に呑み込まれてしまったか。

 極論すればバランスの取れたものしか、宇宙には存在しないはずなのです。

 人が創り出すものに、果たしてそこまでのバランスが保てるのか。それは分かりませんが、やはりその点は存在すると考えるほうが理に適っています。

 時代を超えて愛される建築を創りたい。評価は時間と時代の気分が下すものですが、ある点を探求して行きたいと思います。

 世界遺産。ずっと先かもしれませんが、大きな目標です。

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