オリンピック閉幕、ある金メダルへの後日談

 この日曜日に、北京オリンピックが閉幕しました。

 ちらちらとニュースで見た位ですが、それでも短距離100m、ウサイン・ボルトの世界新記録、水泳マイケル・フェルプスの8冠など、その熱気は自然と伝わってきます。

 日本選手団では、平泳ぎで2種目2連覇の北島康介、女子ソフトボールの金メダルなどがありました。

 その女子ソフトボールチームが金メダル獲得するまでの軌跡をニュースで特集されていました。エース上野投手のインタビューがとても興味深かったのです。

日本チームは過去3回のオリンピックにおいて、あと一歩で金メダルを逃しています。おそらく最終関門は、3大会連続金メダルのアメリカ。それは現実となりました。

 アメリカチームのキャラクターは際立っています。エースはライズボールとドロップを操る身長187cmのサウスポー。4番打者は絵に描いたような巨漢ホームランバッター。2人ともアニメの世界から出てきたような雰囲気です。決勝戦でも、この怪力4番バッターは当てただけで、スタンドまでもって行きました。

 上野投手はその王者アメリカを倒す為だけに、自分のもち球に無かった「シュート」を練習します。そしてこの舞台まで一切を秘密にし、隠してきたと言うのです。

 そして決勝戦のここぞという場面でそのシュートを投げ、見事アメリカの強打者をねじ伏せました。

 もし、日本のプロ野球選手がそんなことをしたら「ペナントレースも全力で戦え」と、非難されるかもしれません。

 「スポーツ」の語源で最も有力なのは「deportare」だそうです。ラテン語で「portare」とは運ぶことで、「仕事」のこと。<de>は否定で「仕事をしない」。「遊び」という意味なのです。

 決して上野選手が遊びでそれまでの試合に挑んだという訳ではありません。しかし、もしソフトボールがプロ化されていたら、このような話は生まれなかったはずです。

 世界最高の舞台まで隠してきた秘密兵器で、最強の敵を薙ぎ倒す。そんな劇画のようなことが有りえるのだと、聞いているだけでワクワクしました。これこそスポーツの醍醐味、そして夢の祭典です。

 そのソフトボールと野球が次回から正式種目から消えてしまいます。こんな話しを、本当に夢にしてしまって良いのかどうか……

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