先週土曜日は、大阪商工会議所にいました。
北隣にある、マイドーム大阪は2つのヴォールト屋根が印象に残ります。対照的に、規則正しいグリッドが、その名前にピタリときます。
京セラ名誉会長の稲盛和夫さんが、経営を指南してくれる場が、盛和塾ですが、自らの経営体験を発表することになりました。
7階にあるホールであったのですが、300人くらいは入っていたでしょうか。
建築を語るならいざ知らず、経営を語るとなると、非常に緊張しました。自分が描いていたイメージとは、程遠い出来でした。
発表が終ったあとの後悔。
もう少し時間があったら……あの話は余計だった……自分に酔っていたんじゃないか……
言い訳ばかりが頭に浮かびます。
先々週、神戸へ行った際、元町駅前を通りました。この細長い、5階建てのビルは、30歳の1年間を休業したあと、再開初めの仕事です。
新築ではなく、正面、エントンランスのやり替えという仕事でした。
そのまま南京町へ抜けようと南へ回ると、外壁に落書きがありました。
こんな時、イラストレーター、黒田征太郎の言葉をいつも思い出します。
ミナミ、アメリカ村のシンボルとも言えるこの絵は下部は、勿論彼が描いたのではありません。
この落書きが問題になった時、ビルオーナーが「黒田先生の作品に失礼だ」というコメントを出しました。
それを受けて「私の絵は、落書きしたくらでは何も変わりませんよ」と答えたのです。
調べてみると、このビルは関西電力の持ち物なので、関電がそんなコメントをしたのか、うる覚えの話です。
しかし、この話が嘘でも本当でもよく、考え方が好きなのです。
街にあれば汚れもするし、落書きされることもあるはず。
できるなら、愛着や敬意を抱いて貰える建築を創りたいですが、許容力のあるものであってほしいと思うのです。元町のビルオーナーには申し訳ないでのですが。
大きな器を演じるのでなく、あらゆることを許容するのは、かなり難しいことです。
今までの人生で最大の屈辱は、ある女性にこう言われたことです。
「男のくせにケツの穴の小さい」
建築家として、経営者として、つぎは言い訳のない、発表をしたいと思います。