先週は、法隆寺の宮大工、西岡常一から、弟子となる小川三夫への手紙について書きました。
実物を見たくなり、奈良県斑鳩町へ。家から西名阪で30分程です。
607年、聖徳太子が建立した現存する世界最古の木造建築。日本初の世界遺産でもあります。
柳のようなしなやかさで揺れをやり過ごす考えは、日本初の超高層ビル、霞ヶ関ビルにも応用されました。
五重の塔の高さは約32m。中央を貫く芯柱は他の構造体と触れていない事で知られます。
揺れの周期が違うことで、運動エネルギーを打ち消しあっているのです。
1400年もの昔、構造解析など無い時代に、どのような経緯でこの構造体は生まれたのか……
子供達の名前も記載できるとの事で、瓦を1枚寄進してきました。
その後、明日香村まで移動。子供はマイ自転車で、大人はレンタルで、大和路を走ってきました。
石舞台、亀石、高松塚古墳。
何故か奈良へ出掛けるのは決まって寒い季節。奈良は冬が良く似合うのです。
「鬼」と言われた宮大工、西岡。その話を子供にしていると、長男からこう聞かれました。
「お父さんは仕事の鬼?」
ここでひるんでいては。「もちろん」と答えました。
広辞苑には、天つ神に対して、地上などの悪神、邪神とあります。その恐ろしい形相から転じて、何かに精魂を傾ける人を指すようになったのでしょう。
楽しんで働くのも正なら、鬼の形相になるのもまた真。
古い考えかもしれませんが、仕事人にとって「鬼」は最高の褒め言葉でしょう。