俺らはあの時精いっぱい生きたんだ‐1483‐

 火曜日は、昨年竣工した住宅の1年点検でした。

 昨春は竣工が間に合わずでしたが、この春、桜並木が一斉に花開く写真を見せてもらいました。

 まさに壮観。

 現在は青々と若葉をつけ、景色が一変しています。

 四季の景色を楽しめるのが、なんと言っても日本のよいところです。

 誰から聞いたのか忘れてしまったのですが、小学校の先生が授業中に言った言葉に衝撃を受けたそうです。

 「絶対分かっていることは、人はいつか必ず死ぬということだ」

 こういったことを、しっかり認識するのはいつ頃のことでしょうか。

 頭では理解しているつもりですが、本当の意味では、まだ分かっていないのかもしれませんが。

 4月5日、アニメーション映画監督の高畑勲さんが82歳で亡くなりました。

 タイトルの言葉は、5月15日のお別れの会で盟友・宮崎駿監督が彼に投げかけた言葉です。

「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「じゃりン子チエ」「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」

 私の人生においても、間違いなく影響を受けているはずです。

 例えば「母をたずねて三千里」のようなアニメを他に観たことがありません。

 1991年公開の「おもひでぽろぽろ」は、今井美樹、柳葉敏郎らが声優をつとめました。

 田舎を持たない27歳のOLが、農家の暮らしにあこがれ、その短い滞在を描いた物語です。

 映画館へ足を運びましたが、私にとっても青春時代の淡い思い出です。

 2人は東映動画を辞めて、ジブリを立ち上げることになりますが、後に社長となる鈴木敏夫は、当時アニメ雑誌の記者でした。

 高畑勲の初監督作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』が発表されたのを受け、取材を申し込みます。

 その場面を、以下のサイトから抜粋します。
http://japan-business-headline.com/interview-ja/ghibli/2/

 でも高畑さんは取材は受けないという。高畑さんは非常に理屈っぽい人で、電話口で一時間、なぜ自分がコメントしたくないかを延々に話すわけ。それで最後に、「僕はコメントできないが、隣に宮崎駿という男がいる。彼は同じスタッフとしてやっていたんだが、彼は別の意見を持っているかもしれない。だから電話を換わりますか」と。それで宮崎さんに電話を換わってもらった。

 そうすると今度もまた一時間。しかし今度は、「僕は話したいことがいっぱいあるから、ページを16ページは下さい。そのくらい無いと自分の思いは伝えられない」って。いったい、この男たちは何なんだと思いましたよ(笑)。

 自分が物創りをしているからか、どんな人が、どうやって作品を生み出していくかに興味があります。

 これは小説家や画家においても同じです。初めて司馬遼太郎が話す姿を見た時も、軽い衝撃を受けました。

 落ち着き払った、仙人のような人をイメージしていたのだと思いますが、むしろ逆でした。情熱的で、ある意味完全ではない子供のような印象を受けたのです。

 記事には、お別れの会での宮崎駿監督の様子がこう書かれています。

 何度も、何度も眼鏡をとって涙を拭い、「パクさん、俺らはあの時精いっぱい生きたんだ」と別れを惜しんだ。

 パクさんは高畑勲監督の愛称です。

 自分なりに、一所懸命生きているつもりですが、自分に盟友などいるのだろうか、77歳の時にこういった言葉がでてくるだろうかと思います。

 高畑監督は東大仏文科卒のエリートでもあります。

 「おもひでぽろぽろ」では、ベット・ミドラーの「The Rose」を和訳し、主題歌として都はるみが歌いました。

 訳詞は彼がつけたものです。

「愛は花、君はその種子」

作詞 MC BROOM AMANDA 訳 高畑勲

長い夜 ただひとり
遠い道 ただひとり
愛なんて 来やしない
そう おもうときには
思いだしてごらん 冬
雪に 埋もれていても
種子は春 おひさまの
愛で 花ひらく

 現場にクライアントが植えた白バラが咲いていました。

 花ことばは「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」 だそうです。

 日本が世界に誇るアニメーションの先駆者に、深く尊敬の念を捧げたいと思います。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

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【Events】
■4月1日(日)「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売に「阿倍野の長家」掲載

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