今日は海の日で祝日。
今年も恒例の釣り合宿でした。
奈良の最南端、池原ダムへ。
長男と釣りにくるのは昨年の海の日以来。実に1年振りです。
小6と中1では身長も随分違います。大きくなりました。
暑いのは人も魚も一緒。
水の冷たい最上流部からチェックします。
かなり小さくはありますが、狙い通りの1匹を釣り上げました。
釣りは自然が相手なので、いつも同じとはいきません。
季節、天気、水温などの情報から、魚の居場所を想像し、釣りなが絞り込んでいきます。
サイズを測ってリリースするだけですが、自分の仮説が正しかったとき、何とも言えない満足感と、清々しさを感じるのです。
長男がテニスもしたいと言い出しました。
高校のとき2、3ヵ月テニス部に属していただけですが、子供の相手くらいなら何とかなります。
嫌というほど汗をかいて、夏の1日を満喫しました。
野外好きは小さい時からで、中学生になると電車に乗って遠出するようになります。
中2の夏、リュックにテントを詰め、釣り道具をもって4人で淡路島へ出掛けました。
適当な浜にテントを張り、釣ってきた魚を調理し、それなりの食事をつくって2泊くらいしたでしょうか。
ひもじそうにみえたのか、近所のおばさんが、飲み物や食べ物を差し入れてくれたのです。
夜はすることもないので、ずっと流れ星を探していました。
高校1年の夏、兵庫県の香住でテントを張って寝ていると、急に豪雨になりました。
近くの高級そうなカニ旅館に駆け込み、1人2千円で食堂に雑魚寝させてもらったこともありました。
翌朝は、少しカニ飯をサービスしてくれたのです。
社会人2年目だったか、広島の山奥にあるダムがよく釣れると聞き、3人で向かいました。
スロープから船を下ろして1日釣りをしたのですが、確かによく釣れるのです。
釣りの最中、岸から半島のように張り出し、平坦な所がある場所を見つけました。
元々どこかで野宿するつもりだったので、ここに泊まれば、夜も朝もいくらでも釣りができると思い、上陸してテントを張ることにしたのです。
思う存分釣りを満喫し、食事をつくりビールを飲んで、大の字で寝ていたのですが、深夜に揺り起こされました。
「いっぱいの目がこっちをみてる」と。
テントから顔をだしてみると、真っ暗闇の中、無数の獣の目だけがこちらを見ているのです。
こんなこともあろうかと持参していた「かんしゃく玉」を足下に叩きつけると、夜露に濡れたか蚊の鳴くような音。
結局、追っ払えたのかも忘れてしまったのですが。
昨今の熊情報を聞くとゾッとしますが、今こうして生きているので、全て笑い話で思い出です。
ダラダラとした休日の午後。どんよりとした屋内ほど苦手なものはありません。
野外へ出かければ何かしら問題が起こり、それなりに解決し、笑い話になり、少しの充実感を得る。間違いなくそうなるのです。
開高健はこう書きました。
木のように立ったままで私は頭から腐っていく。
部屋の壁が倒れかかってくるように感じられる瞬間がある。
白い紙が鋼鉄の罠に思えてくる。
空白と沈殿で指一本持あげることもできなくなる。
指紋で意識が混濁し、萎えきってしまう。
そんなときである。
だからだ。おおいなる野外へ出ていくのは。
-開高健- 『オーパ、オーパ!! 国境の南』より
私も感性の錆を落とし、心の澱を洗い流すのが習慣になりました。
そう、おおいなる野外へ。