ほんとに脱稿‐1386‐

 2015年の12月から執筆をはじめ、昨年の9月に脱稿したと書きました。

 その間に、初めの担当者が体調をくずしてしまいました。

 後任の担当者とやりとりしながら、何とか脱稿にこぎつけたのが9月末だったのです。

 その頃、表紙はこの案でいこうと決まりました。

 表は「松虫の長屋」で、裏は「高台の家」

 もちろんですが、本編でそれぞれのストーリーを紹介しています。

 そこから編集部の校正が入り、最終確認を終え、春先の発売を目指していました。

 しかし、2人目の担当者も体調を崩してしまったのです。

 偶然なのかもしれませんが、2度あったということは、現代社会の現実と考えるほうが普通かもしれません。

 若い2人だったので、体調が戻ったら復帰して、バリバリ働いて欲しいと願います。

 いや、「バリバリ」を付ける、私達世代こそが、その原因なのかもしれません。

 いずれにしても、3人目の担当者とやりとりしながら、最終チェックがようやく終わったのは先月末。

 遅れついでに、「高台の家」は先日撮影した写真に3枚程差し替えてもらいました。

 1階のダイニング・キッチンで奥さんとお子さんが食事の準備をしている風景。

 2階のテレビに支配されない空間「P室」。

 ここで、ご主人が外を眺めているシーン。

 そして、庭木越しの夕景です。

 賞罰教育には必ず限界がきます。

 褒めて貰えるからする。叱られるのが嫌だからする。これらが持続する理由はありません。

 いつの間にか歳を取り、そんなことさえも考えなくなり、惰性で仕事をする……

 それと比べれば、一旦仕事を休むことなど、大した問題ではありません。

 若者の特権は、時間があることと悩みがあることです。

 人生は、挫折、敗北、困難の繰り返し。しかし、諦めなければそれらは間違いなく全て糧になります。

 「建築家と家を建てるという決断」ですが、建築だけでなく、クライアントの人生、私の人生も織り込んだつもりです。

 発売は夏の終わりになりそうですが、彼ら2人にもこの本を届けたいと思っています。

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