アメリカにトランプ政権が誕生しました。
近くの同種族とよい関係が築けなかった種は、衰退するのが生物界のことわりです。
アメリカはどこへ向かっていくのか。
建築家・黒川紀章は「共生」という思想を提唱しました。
1970年の大阪万博では、タカラ・ビューティリオン、東芝 IHI館等を設計。
現在、万博公園内にある国立民族博物館も彼の設計です。
こちらは1977年の開館。
私がみた中では、最も規模の大きな作品でしょうか。
黒川紀章は2007年に73歳で亡くなりましたが、日本だけでなくヨーロッパ、中東、中国と様々な国で大きなプロジェクトを手がけました。
20世紀後半から、21世紀初頭にかけて、間違いなく建築界のトップランナーだったのです。
コーナー部の処理は独特です。
近未来的なデザインは黒川の真骨頂。
中庭はギリシャ風とでも言えばよいのか。
無国籍とも言えるし、寄せ集めとも言えます。
「建築家としての私の評価はともかく、思想家としては何かを残せたのではないかと思っている」という彼のことばがありました。
館内は世界中の民族についての展示があり、かなりボリュームがあります。
イースターのモアイ像。
こちらはインドネシアのものだったか。
しっかり見るなら半日はかかると思います。
共生とは読んで字のごとくですが、20年ほど前だったか、テレビで黒川紀章とビートたけしが対談している場面がありました。
黒川がこんなことを言ったと思います。
「日本人は間合いを大切にしますね。その間合いが分からない人を間抜けと言うんですよ」
そうと言って、2人で笑っていました。
物理的な距離感だけでなく、話しかけるタイミング、相槌のタイミング等など。間合いによって、多くの差異がでます。
戦国時代なら、生死を分けたかもしれません。剣豪・宮本武蔵などは、間合いの取り方が優れていたのでしょう。
近すぎると動ける範囲が限られる。また、離れすぎると関係性が希薄になっていく。
共に生きるが、べったりがよいわけでもない。
これは国と国、人と人においても同じでしょう。
黒川は共生という思想のなかで、受け入れる、多様性といったことが大切なのではと説きました。
自国だけ。西側だけ。極東だけ。そういった単純な区分けと、幸せは対になっていない気がします。
共生と間合い。
思想家・黒川の言葉を解析するのは難しいのですが、ある種あやふやで、輪郭がはっきりしないものが実社会なのだと思うのです。